PROJECT
幸ハウス
終末医療患者のための施設の設計で、国際的デザインアワード「Architecture MasterPrize Award」などを受賞
WHY
入院患者が人生の尊厳を
取り戻すために。
入院生活を余儀なくされる患者は、病院という無機質な空間の中で孤独や不安に苛まれることが多く、ひとりの人間として尊厳や希望を持って過ごせる居場所を持つことが難しい状況にあります。他方、厳しい労働環境にさらされている看護師がやすらぎを得られる空間も十分に整備されているとは言えず、日本には、入院患者、看護師双方が安心して時を過ごせる環境が圧倒的に不足しているのが現状です。
尊厳保持のための看取りを選択する割合

診療室のイメージ(夕方)

HOW
地域の木の
あり方に
徹底的に
素直な建築

私達が設計した「幸ハウス」は、入院患者同士や、その家族、友人らが励まし合いながら、人生の尊厳を取り戻すこととともに、看護師にとってもやすらぎの場として機能する「家」のような医療福祉施設です。入院患者と看護師のウェルビーイングを守るために、二世帯住宅のような建築設計を行いました。また、三角形という特殊な形状の敷地に合わせて空間を構成し、さらに地元の間伐材を用いることで日本全体を覆う森林資源の課題とも向き合い、地域の自然や生態系に徹底的に素直な建築を実現させています。





入院患者、看護師両者の接点をつくりながら、それぞれが自分の空間も確保できるように 2つの入口を用意し、主に2階部を看護師、1階部を患者のための空間とする2世帯住宅のような設計。幸ハウスの三角形の敷地は、一辺が交通量の多い大通りに、もう一辺が静かな小道に面しています。こうしたロケーションを最大限に活かすため、建物の表にあたる大通り側にはあえて開口を取らず、一方の小道側をガラス張りにして庭の緑が見渡せる設計にすることで、まるで森の中にいるかのような空間に。



通常であれば捨ててしまう樹皮をそのまま残して建物の外側に用い、インテリアには木の中身である角材を使うことによって、できる限り自然に即したデザインに徹しました。



フランク・ゲーリーやザハ・ハディドなどの有名建築家も設計に携わってきたマギーズセンターには、設計上のさまざまなルールが設定されています。幸ハウスの設計にあたっても、マギーズセンター監修のもと、これらのルールをすべて踏襲しています。


WILL
地域住民を
巻き込んだ
コミュニティセンターに。
静岡県富士市にある川村病院に付随する福祉施設としてオープンした幸ハウスは、入院患者と家族、看護師が安心して過ごせる場としてだけではなく、地域住民が集う場としても機能し始めています。毎週水曜日の一般開放時間を中心に、ヨガ教室やお茶会などのイベントも頻繁に開催され、地域のコミュニティセンターとして機能するなど、その役割はますます広がっています。

INFORMATION
- What
- SACHI HOUSE
- When
- 2017
- Where
- Fuji city, Shizuoka, Japan
- Client
- Scope
- Interior / Architecture
- Award
- Architecture MasterPrize Award: Healthcare (2018)
- WAF World Architecture Festival: Shortlisted (2019)
- IAA The International Architecture Awards: Hospital/Medical centers (2019)
- Urban Design & Architecture Design Award: Second Award (2019)
- German Design Award: Winner for Excellent Architecture (2020)
CREDIT
- Architect
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
anotherAPARTMENT (Tsuyoshi Kobayashi) - Photo
- Kunihiko Sato
- Contractor
- Sakurabirutetsu Co. Ltd.