PROJECT
YOXO
横浜市のイノベーション政策をブランディング。産学官民が連携する拠点「YOXO BOX」を創設し地域からのイノベーションを推進。
WHY
横浜は未来の希望を
生み出せるか。
横浜はおよそ160年前に日本の長い鎖国を経て、最初に世界に門戸を開いた港のひとつでした。その歴史的背景からこの街には越境的思想を持つイノベーターたちが集い、鉄道、ガス灯、電話、アイスクリームをはじめさまざまな「日本初」が生まれるなど、未来への希望が数多くつくり出されてきました。

近代日本の発展とともに成長を続けてきた横浜は現在、およそ370万人が暮らす日本最大の政令市となっています。また近年は、みなとみらいエリアを中心にグローバル企業の研究開発拠点やスタートアップ企業が増えたことによって開港当時さながらにイノベーターや技術者たちが集い、日本の産業活性を推進する街として期待が寄せられています。
近代社会がひたすら成長を求め、開発を推し進めてきた代償として、地球の気候や地質は大幅に変動し、生態系の崩壊が進んでいます。こうした時代において、これからの都市には従来の成長志向とは異なるあり方が求められ、それを実現するための産業やインフラなどオルタナティブな選択肢を生み出していく必要に迫られています。
これからの都市のあり方はどうなるのか。そして20世紀を輝かしく謳歌した横浜は、21世紀にも希望を見出せるのでしょうか。

HOW
世界有数のR&D集積都市を
みらい都市に導く。

2019年1月、横浜市は研究者・技術者、起業家、学生などの人材が組織を越えてネットワークを広げ、新たなイノベーションを横浜から創出していく「イノベーション都市・横浜」を宣言しました。しかし、その方針づくりは難航。これを受けて、横浜を拠点に活動してきた私たちに白羽の矢が立ち、いかに横浜のイノベーション政策を推進していくかの戦略を協働することになりました。

YOXO
私たちはまず、都市のイノベーション政策の旗印となる言葉が必要だと考えました。そこで、立場やセクターを超えた協働によるチャレンジという「イノベーション都市・横浜」が掲げるテーマを「YOXO=YOKOHAMA CROSS OVER」という言葉で表し、横浜市のイノベーション施策全体を統合する名称として提案しました。このネーミングには、この街の挑戦者たちが生み出したイノベーションを、「よくぞ!(よくやってくれた)」と未来の人たちが讃え、感謝する情景が重ね合わされています。
また、ニューヨークの略称「NYC」等と同様に、多くの人たちが「YOKOHAMA」のイメージを想起し、愛着を抱ける名称であることを意識したネーミングになっています。







本ブランディングのために、イノベーティブな印象を与える幾何学的なサンセリフ体のフォント「YOXO SANS」を開発。ビジュアルコミュニケーションや空間デザインの核を設計しました。

YOXO X-VISION
NOSIGNER太刀川がファシリテーターとなり、市内の事業者やステークホルダーたちが参加した複数回のワークショップを経て「YOXO X-VISION(クロスビジョン)」を策定。
「みらいの希望は創造できる」という言葉とともに、イノベーション都市自体の大きな目標を掲げ、領域を越えた交配(クロスオーバー)によって持続可能な都市を実現することを目指すビジョンをまとめました。こうして生まれた「YOXO X-VISION」は、「みらい体験都市」「挑戦者応援都市」「領域越境都市」という3つの柱で構成されており、それぞれに紐づく合計10の具体的なアクションを設定しています。


横浜未来機構
2021年には、横浜内外で活動する人々をつなぎ、新たなチャレンジに取り組むプレイヤーたちを応援するための機関「横浜未来機構」が新設されることに。私たちは同機関のネーミングやヴィジョンづくりに深く携わり、並走を続けています。


YOXO大 (よくぞカレッジ)
YOXO X-VISIONに掲げられたアクションのひとつ「街ごとキャンパス構想」の実現に向け、横浜の4つの大学と企業・行政が連携したイノベーター育成のためのオンラインプラットフォーム「YOXO大(よくぞカレッジ)」が構築されました。弊社はその共同体のためのネーミングやロゴ、Webサイトのデザインなどのトータルブランディングを手がけました。
ロゴのデザインでは、「YOXO大」の幾何学的な文字列に着目し、「X」を中心とした点対称の造形となるように設計。「大」の横棒に明朝体のウロコのような装飾を施すことで、矢印が前進するイメージや人が手を広げているさまを表現しました。また、学びの場の雰囲気を演出するために、校章を思わせる盾型のシンボルマークとモーションを設計しています。



YOXO BOX
ヴィジョンの実現に向けた具体的なアクションのひとつとして、関内エリアに開設されたベンチャー企業成長支援事業の拠点「YOXO BOX」の内装ディレクションやサインデザインなども担当しました。さまざまなクロスオーバーからイノベーションを生み出すサンドボックス(砂場=実験場)をコンセプトに据え、施設の壁面やガラス面には、施設名を構成するアルファベットをパターン展開。年間通じて開催されるさまざまなイベントやコミュニティを通じて、この空間が横浜のイノベーションのムーブメントを牽引するハブの一つになることを目指しています。









パシフィコ横浜 カプセルトイ
YOXOスタート時の横浜副市長であり、一連のプロジェクトを共創した林 琢己氏より依頼を受け、同氏が現在社長を務めているパシフィコ横浜のカプセルトイをデザインしました。みなとみらい21のウォーターフロントに位置するパシフィコ横浜の各施設を、細部にまで徹底的にこだわった1/2500サイズのカプセルトイで再現。「カプセル都市計画」の名の通り、6つのカプセルトイをすべて集め、パズルのように組み立てることでみなとみらいの都市を再現できる商品群を通して、楽しみながら横浜への愛着を育んでもらうことを目指しています。






WILL
未来に残すべき価値を
生み出す都市へ。
NOSIGNER太刀川が提唱する『Evolution Thinking』のように、都市の進化やイノベーションはさまざまな要素のクロスオーバー(=交配)によって加速すると私たちは考えています。
横浜未来機構では、グローバル企業の研究開発機関やスタートアップ企業、クリエイティブ産業のプレイヤーたちが集う横浜の街で、さまざまなクロスオーバーが頻発する状況をつくっていくために活動を続けています。そして、どこよりも早く、的確に社会の状況をとらえる「適応」の思考を持ち、さまざまな挑戦者たちによる「変異」的チャレンジを応援することによって、横浜を未来に残すべき価値を生み出す都市にすることが私たちの大きな目標です。
また、NOSIGNERとしても、NANA Lv.や進化の学校、横浜DeNAベイスターズ、千代田化工建設のSPERA水素事業をはじめとするこの街のさまざまなプロジェクトを通じて、創造的なケーススタディを横浜から発信し、未来の希望を生み出す都市の実現に貢献していきたいと考えています。

INFORMATION
- What
- YOXO
- When
- 2019-
- Where
- Yokohama, Japan
- Client
- Scope
- Branding / Branding Strategy / Logo / CI Guideline / Naming / Motion logo / Promotional items / Infographics / Photograph / Web and Front End / Signage / Tagline / Promotion Strategy Support / Concept Development / Installation
- SDGs
CREDIT
- Art Direction
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
- Graphic Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Nozomi Aoyama, Kosuke Nakamura, Jin Nagao, Ryo Fukusawa, Moe Shibata)
- Web Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Ryo Fukusawa)
- Development
- NOSIGNER (Naoki Hijikata)
- Motion Design
- Reiya Muraoka
- Space Design
- ROOVICE
- Space Design Supervision
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Kosuke Nakamura)
- Photograph
- NOSIGNER (Mizusako Ryota, Ruel James Villamayor)

