
PROJECT
SALA SUSU
カンボジア女性支援ブランドのディレクション。 防犯機能や収納性に優れた製品で、以前の5倍の利益を創出し、女性の社会進出に貢献。

WHY
カンボジア女性たちが
自立して生きていくために。
カンボジアの農村に暮らす女性たちは収入源が少なく、教育を受けるのも難しいことから、社会進出を妨げられているケースが数多くあります。そればかりか、貧しさを理由に人身売買の危険にさらされてしまうという非常に厳しい現実がありました。2002年からカンボジアで活動を続けてきたNPO法人・かものはしプロジェクトは、こうした農村部の女性たちを雇用し、ものづくりを通じて彼女たちが自立的に生きることをサポートしていく目的で生活雑貨工房「コミュニティファクトリー」を立ち上げていましたが、商品の利益率は低く、持続可能な取り組みには至っていない状況でした。
HOW
つくり手と買い手の
関係性を
デザインする。

かものはしプロジェクトとともに立ち上げた「SALA SUSU」は、ものづくりを通してカンボジア女性たちのライフスキルを磨き、彼女たちの豊かな人生の旅に寄り添うことをコンセプトに掲げたハンドメイドファッションブランドです。女性たちが旅先に持っていくと便利なアイテムをテーマにした各商品から、カンボジア・シェムリアップにある直営ショップの店舗設計まで多岐にわたるデザインディレクションを通して、つくり手と買い手が関係性を育んでいくための接点をつくっていきました。



カンボジアでは、勇気を持って次の一歩を踏み出そうとする時、「SuSu!」(がんばれ!)と声をかけ合います。この言葉に、力強く人生を歩んでいくカンボジア女性の姿を重ね合わせ、「学校」を意味する「SALA」と組み合わせた言葉をブランド名としました。SALA SUSUのコミュニティファクトリーは、その名の通り、学校としての機能も持ち、カッティングやソーイング等の技術はもちろん、語学やビジネスマナーなどカンボジア女性たちが自立して生きていくために必要なライフスタイル全般を学ぶことができ、ここで働く女性たちはやがて卒業し、社会へと旅立っていきます。


商品タグには、各工程を担当したつくり手のスタンプが押されています。カンボジア・シェムリアップ近郊にある工房で働くスタッフ全員が自らのスタンプを持ち、商品タグに一つひとつに手押しすることで、誰がこの商品をつくったのかを買い手はひと目で知ることができ、同時につくり手にも責任感を持ってものづくりに励んでもらうことを目指しています。
各商品のポケットには、航空券を模したフリーパスが入れられています。このフリーパスを提示することで、世界遺産・アンコールワットがあるシェムリアップから、およそ35キロ離れた工房がある村までをトゥクトゥクで送迎してもらうことができます。購入者がつくり手に感謝を伝えられる機会をつくったことが、つくり手の誇りやモチベーション、ホスピタリティの醸成にもつながっています。









女性の旅において何よりも重要になるのは、安全性です。「3-Day Trip Tote」は、盗難などを防止するためにジッパーを付けたトートバッグで、旅の途中に危険に遭遇した際にも助けを呼べるよう、ジッパーの持ち手部分がホイッスルになっています。また、別売りの「トラベルサコッシュ」を3-Day Trip Toteや1-Day Trip Toteのインナーバッグにすることもでき、用途に応じてこれらを自在に使い分けられるようになっています。さらに、防水加工やペットボトルホルダーなど、女性のスマートな旅をサポートするための機能を随所に盛り込んでいます。



WILL
カンボジア女性の社会
進出促進のモデルケースに。
かものはしプロジェクトが以前の「コミュニティファクトリー」事業で製作してきたプロダクトと比較し、SALA SUSUの利益率は約5倍程度にまで伸長しました。その結果として、かものはしプロジェクトの共同代表だった青木健太氏は、2018年4月に新法人SUSUを立ち上げるに至りました。SALA SUSUの事業はカンボジア政府からも高く評価され、SUSUは現在、同国の女性の社会進出に向けたプログラムづくりに協力するなど、活動の場を拡げています。
私達は、SALA SUSUをはじめとするいくつかのプロジェクトにおいて、ソーシャルデザインインベストメントを行っています。これは、顧客とロイヤリティー契約を結び、デザインフィーを成功報酬型にするもので、ソーシャルなヴィジョンを持つ社会起業家に対し、デザイン面から投資をしていくという私達の思想が反映された契約形態です。
INFORMATION
- What
- SALA SUSU
- When
- 2016
- Where
- Siem Reap, Cambodia
- Client
- International NGO Kamonohashi Project
- Scope
- Branding / Branding Strategy / Logo / CI Guideline / Packaging / Naming / Promotional items / Space / Promotion Strategy Support / Product Design
- SDGs
CREDIT
- Art Direction
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
- Graphic Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Andraditya D.R.)
- Space Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Kunihiko Sato)
- Photograph
- Ayako Kimura