
PROJECT
THE MOON
世界中で共感を集め、結果的に無数のコピー商品が氾濫。

WHY
震災後の夜空を照らした
希望の光を忘れない。
2011年3月11日、マグニチュード9.0という日本観測史上最大の地震が東日本を襲い、甚大な被害をもたらしました。地震と津波によって複数の発電所が停止し、闇夜のもとで不安な日々を過ごしていた震災直後の私たちは、夜空にひときわ明るく輝く満月を見ました。過去20年の間で最も明るかったというこの満月は、絶望的な空気に包まれていた日本にとっての希望の光であり、同時に大震災との関連を想起させる畏怖の象徴でもありました。震災直後の私たちの心に、強烈に焼き付いた満月。この記憶を、何かしらのカタチにして残すことはできないかと考えていました。
暗闇を照らす灯りの歴史

HOW
満月を
3D衛星データで
再現した
世界初の照明。

THE MOONは、JAXAの衛星「かぐや」が観測した月の3Dデータを元に、精巧な満月を3Dプリンタで再現した史上初のLEDライトです。現在、私たちは数々の照明に囲まれて生活していますが、人類史を遡ってみると、古代から闇夜を照らし続けてきた最も明るい光は、月にほかなりません。そう考えると、いま世の中に存在するあらゆる照明は、すべて月をコピーしたものと捉えることもできるかもしれません。私たちは、月の形を精巧に再現した照明こそが、最も自然な形をした究極の明かりであると考え、THE MOONを考案し、そのプロトタイプをデザインしました。

WILL
大きな話題になり、
数百万個の
コピー商品が
生まれる。
3Dプリンタによって満月の形を再現した史上初の照明であるTHE MOONは、その後無数のコピー商品を生み出すこととなり、いまではオンラインストアなどで安価な商品を簡単に購入できるようになっています。私たちのデザインに端を発し、世界中に広がっていった満月の照明ですが、元を正せば、月そのもののデザインは誰のものでもありません。個性やトレンドを超越し、多くの人の心に響くカタチが見つけられると、やがてそれはつくり手から離れ、誰のものでもなくなっていくということを、THE MOONは教えてくれているのかもしれません。



INFORMATION
- What
- The Moon
- When
- 2011
- Where
- Japan
- Scope
- Product design
CREDIT
- Product Direction
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
- Modeling
- D3 Texture Technology
K’s Design Lab