
PROJECT
ggg/ Anatomy
デザインの本質を解剖学的視点から読み解き、形の背後にある論理を構築する新しい創造思考法を展示。

WHY
既知の中にある
未知を知る方法とは。
社会は激変している。成長の限界と言われた1972年から50年が経った今でも、我々人類はまだ成長し続けている。生物多様性の崩壊を食い止めるための変化や持続可能な社会を保つためのアクションは、もう時間的な猶予が全く残されていない。社会を変える人がもっとたくさん必要だ。我々は、物が社会を変えることを「進化する」とよく言っている。社会を変えることが進化だと言うなら、我々はもっと生物の進化から社会の進化を生むためのプロセスを学ぶことは出来ないだろうか。

生物学者と同じように、イノベーターは手法として解剖を取り入れている。上のスケッチは歴史上最高のイノベーターの一人、レオナルド・ダ・ヴィンチになる。よる解剖のスケッチだ。形を解剖し、その形の理由を探る中で、形が持つ理由の本質を探す。日本語では、分かるという言葉と分解するという言葉は同じ意味になこの行為と発明には本質的なつながりがあるとは思わないだろうか。

HOW
解剖して形と意味を
探る観察。

人工物のデザインにおいても、技術の進歩、人の趣向性や時代のコンテクストの変容によって、モノは絶えず進化と淘汰を繰り返している。 多様性を前提とした種の発達は、生物の進化の形によく似ている。常に発明は人の進化を補おうとする。 より速く、より楽に、そんな哲学によって進められてきたデザインは、進化しようとする人類の本能ではないだろうか。もし生物の進化とデザインが充分に似ているなら、そのプロセスをよく理解し、発明やデザインに応用することでイノベーションを起こしやすくなるはずだ。進化思考は、そのような考え方から生まれた創造教育のための手法である。

分解から、理由の集合を読み解く。
あらゆるかたちは理由の集まりで出来ている。それは、自然の形態についても人工物のデザインについても言えることだ。それらの 理由を明らかにしようとする場合は、 細かく分解し、それぞれの要素の意味を 読み解いていくと, かたちの奥にある理由を理解することが容易になる。生物学ではそれを解剖と呼ぶ。解剖の歴史は古く、 紀元前3500年頃から人は解剖のプロセスによって自然を学び続けてきた。

人工物を対象とするデザインにおいても、分解から理解しようとする開発プロセスが存在する。ライバル会社の製品を分解して理解するプロセスをリバースエンジニアリングと呼ぶが、これはまさにモノの解剖学と言えるだろう。 例えばトヨタ自動車は、33年型シボレーを分解し、全く同じものを作ろうとしたことから始まったのは有名な話だ。日本語の「分かる」は「分ける」に由来する言葉であり、分解することによって、見えていなかった要素の関係性を洗い出すことができる。それは, 理解と認知のプロセスそのものだ。
De(construct)signs.
オリーブの木と扇風機を分解すると、オリーブが「枝(芯・表皮)」「葉」 「実(種・果肉)」「根」のたった4種類の パーツに大別されるのに対して、扇風機は100種類を超える膨大なパーツの集積で出来ていることが分かる。このように生物と人工物を比較すると、自然物の方が遥かに要素が少ないだけでなく、それぞれの要素の理由がずっと多いと気づく。 優れたデザインは、要素が少なく、かつ多くの理由を備えているものだ。自然は我々よりも遥かに優れたデザイナーであり、我々は自然から多くのことを学べるだろう。

WILL
あらゆる発想法を
統合する進化思考の誕生。
小さな実験的展示から始まった進化思考は、いま日本最大級の規模の自動車会社・不動産会社やアパレルのグローバル企業の経営者など、徐々に賛同者に応援されながら広がりつつあります。(参考記事:
INFORMATION
- What
- ggg/Anatomy
- When
- 2016
- Where
- Tokyo, Japan
- Client
- Scope
- Installation / Space Design
CREDIT
- Art Direction
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
- Graphic Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Toshiyuki Nakaie)
- Space Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Sui Fujikawa)
- Photo
- Kunihiko Sato