PROJECT
SUZUKO
福島県木戸川の最高級いくらブランド。震災で打撃を受けた漁業復興のシンボルとして「京都吉兆」総料理長監修のプレミアム商品を開発。
WHY
風評被害を乗り越え、
福島の食を
復活させるには。
2011年に起きた東日本大震災と原発事故によって、福島県の水産業は甚大な被害を受けました。事故から10年近くが経過した現在、福島の食を応援する人たちは増えたものの、未だにその安全性を疑問視している人たちが少なくないことも事実です。
それは、国内有数の漁獲量を誇る鮭の産地である福島県・木戸川においても同様で、目に見えない放射線への恐怖が消費者の買い控えを招いていました。しかし放流から水揚げまでの3~5年の大半を福島から遠く離れた太平洋で過ごす鮭から、放射線物質が検出されることはありませんでした。汚染リスクの極めて少ない安全な水産物であるにもかかわらず、木戸川のいくらは風評被害によって国内最安値まで下落していました。
加えて、震災後の5年間は稚魚の放流が途絶え、漁獲量が落ちたことや、2019年の台風19号による豪雨災害がさらなる追い打ちとなりました。こうした甚大な被害を乗り越え、低迷する福島の水産業に復活の狼煙を上げることはできないのでしょうか。



HOW
福島の夜明けを
象徴する、
究極のいくら。

私たちは、いわき市の駅前商店街にある夜明け市場とともに、一流シェフの味付けによる究極の醤油漬けいくら「SUZUKO」を開発しました。木戸川のいくらを最高に美味しく届けたいという思いから、レシピの監修を「京都吉兆」の徳岡邦夫総料理長に依頼。震災前の約20分の1にまで漁獲が落ち込んだ希少ないくらを独自の選定基準で厳選し、特別な味付けを施すことで究極の一品に仕上げました。同時に、木戸川漁港の職員がその調理を再現できるようにすることで、漁業組合が自立的かつ持続的に事業を展開できる仕組みづくりにも取り組みました。



デザインでは、美味しさと安全性を訴求するブランディングを行いました。究極の一品にふさわしい高級感を持たせるためにゴールドの缶を使用しており、まるで赤いキャビアのように美しく煌きます。ロゴマークは、木戸川のいくらを太陽に見立てています。原発事故の影響で著しく評価が下がった木戸川のいくらに、夜明けのイメージを重ね合わせることで、福島の水産業の復活への願いを表現しています。さらに、安全面の認証試験をクリアしていることを示す保証書もデザインしました。こちらは、落ち着いたトーンにすることで安心感・信頼感を与えます。

WILL
復活の狼煙を上げ、
福島の水産業に夜明けを。
SUZUKOを共同開発した夜明け市場は、いわきにおける震災復興の象徴として、街の人たちの大切な場所になっています。逆風の中で生まれたSUZUKOも、日本有数の漁場だった福島の水産業の復活の象徴となることを目指しています。国内最安値まで落ち込んだいくらを日本最高峰のブランドに押し上げ、いつの日か木戸川が震災以前を凌ぐいくらの名産地になること。それを福島の安全な水産業の復活の狼煙にしたいと私たちは考えています。

INFORMATION
- What
- SUZUKO
- When
- 2020
- Where
- Fukushima, Japan
- Client
- Scope
- Branding / Branding Strategy / Logo / Packaging / Pamphlet / Photograph / Web and Front End / Promotion Strategy Support
CREDIT
- Art Direction
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
- Graphic Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Tomoro Hanzawa, Ryota Mizusako)
- Web Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Tomoro Hanzawa, Ryota Mizusako)
- Development
- NOSIGNER (Naoki Hijikata)
- Photograph
- NOSIGNER (Ryota Mizusako, Yuichi Hisatsugu)