PROJECT
横浜DeNA ベイスターズ
プロ野球チームのブランド力向上。「+B」ライフスタイルブランド構築や「ベイスターズサンズ」フォント開発で、球団と街の一体化に貢献。
HOW
球団の変化が横浜の街を
ブランディングする。

2012年より横浜DeNAベイスターズは、本拠地・横浜スタジアムを市民がより親しみやすく、誇りを持てる場所にしていくことを目指す「ボールパーク化構想」を掲げていました。スタジアムの隣にオフィスを構え、横浜の街に対して特別な思いを持つ私たちは、同構想の推進に初期の段階から参画することになりました。
このプロジェクトにおいて私たちが描いたデザイン戦略は、球団のブランディングではなく横浜のブランディングという観点を持って、変革を促すことでした。異国情緒にあふれ、進取の気性を持つ港町・横浜のアイデンティティを重ね合わせ、市民にとって身近な球団に生まれ変わることで、シビックプライドの醸成を目指しました。
この戦略を掲げた背景には、横浜の街独自の歴史も大きく関係しています。都市としての歴史が比較的浅く、約150年前の開港と同時に歩みを始めた横浜は、生まれながらにして西洋の空気感をまとうという稀有な個性を持った港町です。また、横浜の開港は、アメリカのベースボール文化が醸成されつつあった時代にも重なります。つまり、ベイスターズは、ホームタウンのアイデンティティを追求することで、野球の母国・アメリカの古き良き時代の空気感を体現し、ベースボールの本質に迫ることができる日本唯一の球団なのです。


私たちはまず、市民に野球とともに過ごす日常の豊かさを伝えていく「+B」戦略にもとづき、ライフスタイルブランド「+B」のブランディングや、コーヒーカウンター「BALLPARK COFFEE」のデザインディレクションを手がけました。
「+B」では、ファンアイテムの定番だった観戦グッズだけではなく、マグカップやステーショナリーなど日常的に使うことができる魅力的なアイテムを広く展開。横浜の企業やブランドがコラボレーションアイテムなどを展開する上でのガイドラインとなるデザインコードを設定しました。これによって、ブランドのトーンアンドマナーを保ちながら、多くのコラボレーターを巻き込んでいくことが可能となり、その結果開発コストは削減され、同時に球団のファン層を拡げるブランディングが実現しました。

開港当時の横浜の商店やホテルなどに用いられていた看板文字や、古き良きアメリカを彷彿とさせるスラブセリフ体にインスパイアされたロゴマーク。野球の母国・アメリカの古き良き時代のイメージと、日本における野球発祥の地であり、港町として世界に開かれた横浜のヒップな空気感が重ね合わされています。


さらに、スポーツを軸にしたコミュニティ醸成を目指す複合施設「THE BAYS」、同施設内のカフェ&バー「&9」などのディレクションを通じて、横浜の街で働き、暮らす人たちと、ベイスターズや野球の存在を近づけるデザイン戦略を描きました。続いて、2軍チームの練習場や選手寮などが集まる新拠点「


























その後NOSIGNERの太刀川英輔は、ベイスターズと横浜市芸術文化振興財団「ACY アーツコミッションヨコハマ」とともに、横浜を盛り上げる企業や個人によるコミュニティの醸成、シビックプライドの向上を目指す「We Brand Yokohama」を立ち上げました。このプロジェクトにはベイスターズも参加しており、理念を同じくして活動を続けています。
およそ2年間活発に行われたミーティングからは、横浜市のイノベーション政策「
ベイスターズが人気球団へと成長し、横浜スタジアムでの主催ゲームが大入りになることが増える中、満員御礼時に来場者に配布する記念メダルをデザインしました。従来、満員御礼時には現金500円をキャッシュバックしていましたが、これをプライスレスな観戦の思い出を象徴するメダルに変更することでファンの満足度を高めるとともに、球団運営における大幅なコストダウンにも貢献しました。

WHY
不振に喘ぐ球団は
市民の誇りになれるのか。
横浜DeNAベイスターズは、神奈川県横浜市にホームグラウンドを持つプロ野球球団です。ベイスターズは1998年に日本一に輝いたものの、2000年以降は成績不振が続き、経営的にも厳しい状況にありました。また、従来の野球ファン以外に球団の魅力が十分にアピールできているとは言い難く、市民から存在こそ認知されていたものの、その関係性は希薄なものでした。
ファン層の拡大や経営の改善などさまざまな課題を抱えていた球団は、2011年にDeNAによって買収されることになりました。さまざまなスポーツの台頭、娯楽の多様化などにより、かつて国民的スポーツとして老若男女から愛されてきた野球そのものへの逆風も吹く中、ベイスターズが不振から脱却し、市民にとって誇れる存在となるためには、何が必要となるでしょうか?

WILL
シビックプライドを醸成する
街の中心的存在へ。
一連の取り組みの結果、2011年当時は約110万人だった年間の観客動員数が2016年には194万人、2021年には228万人にまで増加し、横浜スタジアムの客席が連日埋まる超人気球団になりました。チームの年間成績においても上位進出の機会が増えるなど輝かしい成果を生み出しています。
また、「+B」戦略にもとづく一連の取り組みを通じて、地元のブルワリー・横浜ベイブルーイングとともにつくられたビール「ベイスターズエール」などヒット商品も生まれるなど、経営面でも黒字化を達成しました。
ベイスターズは横浜市民のシビックプライドを醸成する中心的な存在となり、横浜という街自体のブランドや魅力を高める存在となりました。市民の応援がいつの日か球団の悲願である日本一の達成へと導く未来を、私たちは夢見ています。

INFORMATION
- What
- Yokohama DeNA Baystars
- When
- 2015
- Where
- Yokohama, Japan
- Client
- Scope
- Branding / Branding Strategy / Logo / CI Guideline / Font
- Award
- WOLDA Awards of Excellence(2018)
CREDIT
- Art Direction
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
- Graphic Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Takeshi Kawano)
- Space Design
- ON design partners (Osamu Nishida)
- Merchandising
- METHOD (Yu Yamada)