
PROJECT
OLIVE
東日本大震災発生から40時間後に災害支援情報Wikiサイトを立ち上げ、3週間で100万PVを達成。後に書籍も出版された。

WHY
あの日、史上最大の
災害が起こった。
2011年3月11日14時46分。東日本大震災が発生しました。これはM9.0を記録する、日本の観測史上最大の地震であり、被害総額は世界史上最大の災害でした。多くの人が住む日本の東側沿岸部に甚大な被害を及ぼし、巨大な津波による壊滅的な被害、福島原子力発電所の事故、18,434人もの死者・行方不明者数を記録。この100年における世界史上最大の災害となってしまった2011.3.11の東日本大震災。そんな中私達は、ライフラインが絶たれてしまった状態の被災者をすぐに救援しなければならない状況にありました。デザインを用いて出来ることはほとんど何もありませんでした。しかし、こんな時こそ、人の創造性の可能性が輝く時だと信じたい。そう思っていました。
東日本大震災の規模の大きさ

行政情報収集の充足度

HOW
生き残るためのデザインを
被災者に届けるwiki。

東日本大震災の発生から、なにかできることはないかとインターネットを探した結果、私たちが発見したのは同じように被災地を助けたいと願っている人が本当にたくさんいるということでした。そんな人々は、それぞれに情報を発信していました。けれども、巨大災害であったためにあまりにもネットでの情報スピードが早いので、どこかに貯める場所を作らなければ、これらの役立つ情報は流されてしまいます。そこで私達は、情報を束ねるWIKIをつくることにしました。
OLIVEは、災害時に有効な知識を集めて共有するwikiサイトです。「生きろ日本」との願いから、O(日の丸)+LIVE(生きる)で、OLIVEと名付けました。世界中から、物資のない被災地で生きるために必要なものを身の回りのものから簡単に作るためのアイデアが集まり、3週間で100万PVを達成し、厚生省やテレビ局、新聞などが拡散したことで、最低でも1000万人程度の人にはOLIVE由来の情報を届けることができたと推定されています。有志のご協力により、英語、中国語、韓国語へと翻訳されており、集合知を利用した災害対策のデータベースとして拡張しています。



CLIENT VOICE
OLIVE=●(日の丸)+LIVE(生きろ!) 東日本大震災の被災者あるいはすべての支援者に向けた、何と明確で力強いメッセージなんだろう。これがOLIVEと最初に接した時の印象である。太刀川英輔氏は、物質的あるいは視覚的要素に重点が置かれがちな「デザイン」という手段を、考え方、生活、生き方という我々の日常に欠かせない有形無形のあらゆるモノへと自由自在に昇華させているようである。私は2021年9月のフェーズフリー・アワード授賞式で太刀川氏に初めてお目にかかり、その後仕事で何度かお目にかかった。こうして、太刀川氏の考え方に興味を持つようになり「進化思考」を拝読したが、生物の進化と人間の創造という行為を関連づけて、体系づけた考え方に強く感銘を受けた。それは私自身が関わってきた「研究」という行為にも大いに参考になるものであり、私が手にした500頁にもおよぶその本はメモで真っ赤になってしまった。こうして氏とのお付き合いが始まったわけだが、偉大なデザイナーであるにも関わらず、気さくで周りへの配慮を欠かさない人柄に魅せられてしまう自分がいる。何が正しいのかわからない時代に突入してきたが、災害対応にせよ地球温暖化にせよ社会的な課題があることは紛れのない事実である。デザインの力でできること。太刀川氏とNOSIGNERはその可能性を大いに我々に見せてくれた。さらなる飛躍を期待している。
東北大学災害科学国際研究所 教授
村尾 修


















WILL
世界最大級の防災
プロジェクトの一つに発展。
2011年9月にはOLIVEの書籍が発行され、現在までロングセラーを続けています。2013年には、OLIVEから発展した防災キット「
OLIVEから始まった一連の取り組みは、DFA GRAND AWARD、DIA INTELLIGENCE AWARD、GOOD DESIGN GOLD AWARDなど国内外の20以上の栄えある賞を受賞しました。
現在も世界各地で災害が起こる度に、我々が発信してきた情報が参照されています。災害時にデザインの力を役立てられることを実証した世界的にも稀有なこの取り組みは、デザインの歴史に刻まれる重要なプロジェクトとなり高校生向けの教科書にも掲載されました。
東日本大震災は、地震と津波によって史上最大規模の被害をもたらしましたが、近年は気候変動による災害も激増しています。ハリケーンや台風、線状降水帯がもたらす局地的な大雨による記録的災害が、世界各地で毎年のように発生しています。荒れ狂う自然が引き起こす災害と共生せざるを得ない時代に、防災の重要性はますます高まるばかりです。
これからも私たちは、防災について楽しく、わかりやすく伝えていくことができるコミュニケーションデザインの力を最大限活用し、もしものときに自分と大切な人の命を守る準備ができた人をひとりでも増やす活動を続けていきます。

INFORMATION
- What
- OLIVE
- When
- 2011
- Where
- Sendai, Japan
- Scope
- Branding / Branding Strategy / Logo / Naming / Illustration / Edition / Infographics / Web and Front End / Book cover and inner page design / Exhibition / Concept Development
- Award
- BP Nikkei Design Smart Design Award Grand Prize “To Know” Category Award(2012)
- Japan Sign Design Award「いのちを守るアイデア巡回展」(2012)
- Golden A’ Design Award in Social Design Category(2021)
- SDGs
CREDIT
- Art Direction
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
- Graphic Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
- Web Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa), OLIVE SUPPORTER
- Manager
- OLIVE PROJECT, OLIVE SUPPORTER