PROJECT
REYO
「REYO 横浜市再利用材プロジェクト」のデザイン戦略を定め、「サーキュラーシティ」としての横浜の価値を高める運動を推進
HOW
廃棄される体育館の床を
再生するコミュニティ。

「REYO 横浜市再利用材プロジェクト」は、 横浜市にある公共建築物の古材を新たな価値へとアップサイクルする取り組みです。
体育館の床材としての役目を終えた大量のフローリング古材が発生している中で、横浜市建築局は、それらを焼却処分するのではなく、可能な限りそのままの形で再利用することで、CO₂の固定化期間を延ばすことを目指していました。小規模ながらも、古材を用いた家具や卓上小物の製作、ワークショップの開催、民間企業との連携などの取り組みが始まっていましたが、活動を加速させていくためにはデザイン戦略が不可欠であり、NOSIGNERがその役割を担うこととなりました。
まず私たちは、古材の「再利用」や、「Recycle from YOKOHAMA」の意味を掛け合わせた「REYO(リヨー)」というプロジェクト名を提案しました。そして、「おもいでの材を、これからも。」というキャッチコピーのもと、プロジェクトの背景や活用事例、理念をまとめたオープンデザインのガイドラインを制作。サクラやカエデなどの無垢材としての市場価値、体育館の線や傷など時間の蓄積によって醸される独特の魅力など、市民の思い出が刻まれた再利用材の価値を発信しました。


ロゴデザインでは、古材の再利用を通じてサーキュラーエコノミーの実現を目指す本プロジェクトの理念を表現しました。また、廃材と人をつなぐ重要な要素としてトレーサビリティの観点を取り入れ、使用されていた施設名、材質、樹種などの情報をロゴに組み込みました。このステータスは、木材認証のマーキングのように材に直接印字することを想定し、NOSIGNERオリジナルのステンシル書体を用いています。




また横浜市役所には、「REYO」の 再利用材を活用したオリジナルベンチが導入されることになり、NOSIGNERがそのデザインを手掛けました。下地板付きのフローリング材をそのままの形で使えるように工夫を施し、さらにモジュール単位で設計することで、ベンチやスツール、シェルフなど多様な用途に展開できる柔軟性を備えたデザインになっています。
加えて、REYOの取り組みをさらに広く周知していくために、横浜市が企業・団体・個人を表彰する際に用いるトロフィーや額などについても再利用材を用いてデザインしました。




CLIENT VOICE
チップ化して燃やすまでの期間を延ばし、木としての寿命を全うさせることが脱炭素につながります。そうした「もったいない」という想いと、脱炭素への共感がこの取組を進める意義になっています。NOSIGNERさんはそこに、「REYO」という親しみやすい名前と、廃材を「思い出の詰まった資源」と捉え直すコンセプトを提案してくれました。
特に、学校名や歴史を可視化するトレーサビリティのデザインは、単なる古材を「記憶の一部」という価値あるものに変えました。しっかりとしたブランディングを行い、様々な企業の方々に参加していただいたことで、素晴らしい製品がたくさん生まれました。私たちの部門だけではできなかったことが、こうして実現していくのは楽しいことです。
『出典:横浜市「地球1個分で暮らそう STYLE100」』

横浜市建築局
石土 健太郎/城向 咲
WHY
建築は、思い出ごと
廃棄物になってしまうのか。
日本や世界の様々な公共建築は、定期的なメンテナンスによって修繕維持されています。そのため、一定の使用期間を過ぎると改修や建て替えが行われ、その都度大量の建築廃材が発生し、中にはまだ十分に利用できるものも少なくありません。
NOSIGNERが拠点を構える横浜市は約380万人の人口を誇る全国最大の基礎自治体であり、全国最多となる500以上の市立小学校があります。これらの体育館の床材はおよそ40年のスパンで張り替えられており、横浜市だけでも年間5000㎡、体育館約10棟分に相当するフローリング古材が廃材となっています。この廃棄量が単純に人口に比例しているとすれば、日本全国では165,000㎡程度のフローリング材料が捨てられていると試算できます。
公共の体育館に使用される床材はサクラやカエデなどの広葉樹が指定されており、本来高い市場価値を持つ木材にもかかわらず、そのまま再利用されることは稀です。こうした廃材の85%は木質チップ化され、燃料やパルプ原料として再利用されているのが現状です。こうした状況に問題意識を持っていた横浜市では、より良い形で公共建築物の廃材活用を促進していくための方法を模索し始めていました。
横浜で毎年廃棄されるフローリング木材の量





WILL
サーキュラーシティ横浜が実現する未来へ。
「REYO」は、横浜市が主催するイベント「よこはま建築ひろば2024」を通じて初公開され、体育館の床材を活用したオリジナル家具の展示や、廃材を用いたワークショップなどが実施されました。プロジェクトに対する共感の輪は少しずつ広がりを見せ、再利用材の魅力に着目した企業の参画も始まっています。
廃材をできる限り元のかたちで再活用する「カスケード利用」は、サーキュラーエコノミーを実現する上で最も持続可能なアプローチのひとつです。今後は体育館の床材にとどまらず、公共建築物の廃材へと対象を広げ、アップサイクルの文化を定着させていきたいと考えています。
REYOプロジェクトはまだ始まったばかりですが、かつてNOSIGNERがブランディングを手がけて大きな成功を収めた横浜市のイノベーション施策「YOXO」のように、「REYO」の名の下で市内の循環型プロジェクトが包括的に推進され、「サーキュラーシティ」としての横浜の価値を高める運動にしていくことを目指しています。

INFORMATION
- What
- REYO
- When
- 2025
- Where
- Yokohama city, Tokyo
- Client
- Scope
- Branding / Logo / VI Guideline / Naming / Copywriting / Product / Furniture / Promotion Strategy support
- Award
- JAJapan Wood Design Award Top 25 (Chairman’s & Encouragement Award)2025
- SDGs
CREDIT
- Art Direction
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
- Graphic Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Yuta Horimoto, Tomoko Tezuka)
- Product Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Mahiro Kobayashi)
- Photograph
- NOSIGNER (Yuichi Hisatsugu), Masaharu Hatta



