
PROJECT
DESIGNS FOR THE NEXT 100 YEARS
次の100年を見据えたデザイン展覧会。未来への責任と持続可能性を問い、デザインの目的(WHY)と方法(HOW)から社会変革の可能性を探究。

WHY
創造的で希望ある未来を
次世代に見せられる
だろうか。
人類は、豊かな暮らしや社会のためにあらゆる道具をつくり、文明を発展させました。さまざまなアイデアや工夫に満ちた道具を生み出した能力こそ、私たち人間が持つ創造力です。これを道具をデザインする力と言い換えることもできるでしょう。 偉大な先人たちが、目の前の課題を解決するためにデザインの営みを積み重ねてきたことで、私たちの生活は豊かで健康的なものとなり、経済は大いに発展しました。
しかし文明の成長過程で、私たちは限りある地球の資源を未来から前借りし、生態系を著しく破壊してきました。その結果、不可逆的かつ急激な環境変化の危険性がある限界点「惑星の限界=プラネタリーバウンダリー」をすでに超え、現在の文明はあと数十年ほどしかもたないとも言われています。
人は希望ある未来のためのデザインに取り組んできたにもかかわらず、生態系の崩壊・気候変動・食糧危機などが世界的な問題となり、広がり続ける格差社会が争いや分断を生んでいるのは大変皮肉なことです。その過程で、本来持続可能だった地域社会や伝統文化も衰退の一途をたどっています。
私たちはどうすれば次世代の子供たちに、創造的で希望ある未来を見せることができるでしょうか。
HOW
未来のためのデザインは
可能だろうか。
NOSIGNERの法人化10周年を記念して開催される本展は、過去10年間の私たちの活動を回顧するだけではなく、100年先の未来のためのデザインについて皆さんとともに考えることを目的としています。 本展では、私たちが過去10年間に取り組んできたさまざまな取り組みを、「WHY」と「HOW」の2つの観点から紹介しています。 良いデザインには、前例のないことへのチャレンジや、圧倒的に新しい考え方が不可欠であると考えてきた私たちは、これまでにない方法(=HOW)に対して強いこだわりを持ってきました。しかし、方法に溺れてしまうことは、時にデザインのためのデザインを生み出してしまうばかりか、予期せぬ形である種の暴力に加担してしまうことにもなり得ます。
本来のデザインの役割は、あらゆる人たちに新しい方法を提供することです。そして、そのために必要なことは、目の前のプロジェクトがなぜ必要なのか、そのデザインが実現する未来はどんなものなのかという目的(=WHY)に向けられる眼差しや洞察です。 私たちは、過去から現在、未来へと至る時間軸、あるいは身の回りから地球の裏側にまで連なる生態系の中にプロジェクトを位置づけ、目的(WHY)からデザインを考えてきました。このアプローチは、太刀川英輔が提唱し、本展でも紹介している「進化思考」に基づくものです。
「世界をいかに持続可能にできるのか」という大きな課題と向き合い続けてきた私たちは、デザインが未来のためにできることを一つずつ積み上げていくことを大切にしてきました。日本の小さなデザインファームのケーススタディが皆さんのインスピレーションとなり、世界を変えるきっかけになるのであれば、これほどうれしいことはありません。
DESIGNS FOR THE NEXT 100 YEARS
「DESIGNS FOR THE NEXT 100YEARS」は、設立10周年を迎えたNOSIGNERの活動を「WHY(なぜ)」と「HOW(どのように)」の2つの観点から振り返りつつ、次の100年のデザインの未来を展望する展覧会です。優れたデザインとは、慣習に挑戦し、新しい考え方や方法(=HOW)を取り入れたものであると同時に、プロジェクトのあるべき未来を見据えた、意義や目的(=WHY)を備えています。
NOSIGNERは、代表の太刀川英輔が提唱する「進化思考」というコンセプトから、目的と方法を兼ね揃えたデザインを実践してきました。「世界をいかに持続可能にできるか」という大きな課題に対し、日本のデザインファームが起こしてきた小さな変化の積み重ねがケーススタディとして台湾のみなさまのインスピレーションになり、ともに世界を変えていくきっかけになることを期待します。





進化思考図書館
展示会場には、歴史上の自然科学者たちによる文献を集めた「進化思考図書館」を展開しています。
自然科学は、一見デザインの世界とはかけ離れているように思えるかもしれませんが、創造性やデザインの本質を紐解くさまざまな知恵が詰まっています。太刀川は進化思考をまとめるにあたって自然科学の世界を探求する中で、この数百年にわたる自然科学者たちによる研究が記された貴重な原書や複製本を収集するようになりました。進化思考図書館では、そのコレクションの一部を通じて偉大な先人たちが残したさまざまな知恵の片鱗を感じ取ることができるはずです。







WILL
未来のための新しい関係を
つくるデザイン事務所。
NOSIGNER(ノザイナー)は、未来のために役に立つデザインを実践する活動体です。
私たちはデザインの力を信じています。なぜなら良いデザインには、分断された関係を繋ぐ力があるから。デザインは形をつくるだけでなく、形を通して関係性を生み出す力があります。私たちは、そんな形の背景にある目に見えないもの(NO-SIGN)をつくるという理念のもとで活動してきました。 新しい可能性を生み出す発想と、ありたい関係をそのまま形にしたようなデザインを両立するには、表現や企画を磨き抜く基本的なデザイン力が必要不可欠です。
私たちNOSIGNERはデザインの鍛錬を続け、建築・空間・インダストリアル・グラフィック・パッケージ等それぞれのデザイン分野において常に世界に伍するクオリティを追求してきました。その結果、現在では様々なデザイン領域で世界をリードするチームになりました。 こうした専門性を活かしながらデザイン領域の垣根を越え、徹底的な観察から目に見えない関係性の糸口を発見し、未来に役立つイノベーションを生み出す総合的なデザイン戦略を描きます。
INFORMATION
- What
- DESIGNS FOR THE NEXT 100 YEARS
- When
- 2023.9.19-11.5
- Where
- Taiwan Design Museum (inside Songshan Cultural and Creative Park)
- Scope
- Exhibition / Video / Copywriting / Edition / Video / Promotional items / Photograph / Concept Development
CREDIT
- Organizer
- NOSIGNER、台灣設計研究院TDRI
- Co-organizers
- 設計發浪 Designsurfing、Dosomething studio
- Curator
- 太刀川英輔
- Curatorial Coordinator
- 李妮燕、川喜多ノエミ、廖于婷
- Executive Coordinator
- 設計浪人、Queena Lin
- Video Coordinator
- Cowper Wang
- Curatorial Design
- 太刀川英輔、川喜多ノエミ、櫻井綾、堀本悠太、神﨑遥
- Design Assistant
- 何恺宁、丹下佳晴、廖于婷
- Music production
- 高見澤音楽室
- Copy writing coordinator
- 原田優輝
- Japanese translation
- 詹慕如
- Japanese proofreading
- 李妮燕、Chad Liu、廖于婷
- English translation
- 柯乃瑜、錢佳緯
- English proofreading
- Jerry Hsu
- Photography
- 汪德範