PROJECT
Future Kid Takara
気候変動をテーマにしたアニメーション「FUTURE KID TAKARA」で、炭素の原子構造に着想を得たロゴやオリジナル書体を設計しました。
WHY
気候変動の激甚さは、
伝わっているか。
20XX年までに地球の平均気温が最大◯℃上昇する──。
こうした未来予測が各所で語られる中、気候変動の問題は気温の上昇それ自体だと捉えられがちです。しかし、実際に私たちの暮らしに大きなダメージを与えるのは単純な「気温上昇」ではなく、「気候の不安定化」によってもたらされる極端な変化の連鎖です。
報告された災害数の傾向


気温の上昇によって、例えば日本では、線状降水帯による豪雨や大型台風の頻発が深刻化し、一方でアメリカ西海岸やオーストラリアでは、極度の乾燥と高温が引き金となり、山火事が長期間にわたって鎮火できない状況が続いています。太平洋を挟んだ東西の地域でまったく異なる異常気象が同時に発生し、かつて「100年に一度」と言われた自然災害が、5年に一度となり、やがて毎年のように起こる現実が目前に迫っています。
こうした現象は日々の生活ではなかなか意識されることがなく、いくら数値やデータが提示されても、その深刻さが実感をもって伝わることは稀です。災害コミュニケーションにおける大きな課題は、実際に起こってからでないと“自分ごと”として受け止められず、事前にどれだけ情報を伝えても、想像が及ばない点にあります。
だからこそ、とりわけ次世代を担う子どもたちに向けて、気候変動の激甚さを実感とともに伝えていくことが、この状況を生み出してしまった大人世代に課せられた責務となっています。
HOW
未来人と気候変動に
立ち向かうアニメーション。

「FUTURE KID TAKARA」は、子どもたちに向けて、いま地球で起きている異常気象や気候危機への取り組みを正しく伝えることを目的に制作されたアニメーション作品です。以前、NOSIGNER・太刀川英輔が出演した気候変動をテーマとするNHKのTV番組で、プロデューサーを務めていたNHKエンタープライズの堅達京子氏が舵を取り、国立環境研究所・江守正多氏の科学監修を担当。世界的に知られるアニメーションスタジオ「STUDIO4℃」が制作した本作において、私たちは番組のロゴ制作を依頼されました。


空想ではなく、現実としての未来を描くためにアニメーションと実写映像のハイブリッドな演出が想定されていたため、両者を違和感なく接続できるデザインのインターフェースが必要だと考えました。
そこで着目したのが、気候変動の本質に関わる「炭素=カーボン」の原子構造です。炭素の六角構造から着想を得て、三角形グリッドを基軸にしたデザインを構想し、スタディを重ねながらロゴを設計しました。
三角形グリッドは、炭素の構造を象徴するだけでなく、実写映像に重ねることでモザイクのようにも機能し、実写とアニメーションのギャップを自然につなぐ橋渡し役を果たします。



このグリッド構造をもとにオリジナル書体も設計し、作品全体に統一されたデザイン言語を与えました。その象徴的な存在が、物語の主人公・タカラの胸にアルファベットの「T」が3つ並ぶ六角形のエンブレムです。
炭素構造にインスパイアされた視覚言語を用いることで、アニメーター自身が自由に表現を拡張・運用できるようにも配慮しながら、科学的なリアリティとアニメ的な想像力を媒介する設計を実現させました。





WILL
いまからでも間に合う。
そう信じられる未来へ。
「FUTURE KID TAKARA」は、大阪・関西万博のプレミア上映を皮切りに、NHKでの地上波放送も予定されており、子どもたちに向けた本格的な気候アニメーションとして注目を集めています。
気候変動を真正面から扱い、科学的な監修に基づいて制作されたアニメ作品は、これまでほとんど存在していませんでした。 多彩な専門家やクリエイターが結集したこのプロジェクトは、エンターテイメントとサイエンスの架け橋となり、気候変動への新しいアプローチを切り拓く、これからの時代に必要なサイエンスコミュニケーションのかたちだと言えます。
気候危機に向き合う際、多くの人が「もう間に合わないのでは」と諦めや無力感を抱きがちです。しかし、気候変動への対策は、たとえ小さな行動であっても取り組んだ分だけ確かな成果につながります。だからこそ、深刻な問題を伝えるだけでなく、「自分にもできることがある」「行動は未来を変えられる」という前向きな意識を育むことが重要です。
この作品をきっかけに科学の世界に魅了され、「自分もこの分野のヒーローになってみたい」と思える子どもが一人でも増えること。そして、正しい知識を身につけた子どもたちの中から、将来の科学者や社会の担い手が育っていくことが私たちの願いです。
INFORMATION
- What
- Future Kid Takara
- When
- 2025
- Where
- Japan
- Client
- Scope
- Design strategy / VI / Font
- SDGs
CREDIT
- Logo Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Yuta Horimoto)
- Poster Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Tomoko Tezuka, Yuta Horimoto)
- Animation Production
- Director
- Yuta Sano
- Character Design (Original Concept)
- Shinji Kimura
- Script
- Shinji Obara
- Music
- Yasuhiro Maeda
- Animation Producer
- Shun Hasegawa
- Planning Producers
- Kyoko Gendatsu (NHK Enterprises)
Eiko Tanaka (Beyond C. / STUDIO4℃) - Science Supervision
- Seita Emori (Professor, Institute for Future Initiatives, The University of Tokyo)
- Education Supervision
- Osamu Abe (Chairperson, Japan Environmental Education Forum)


