
PROJECT
エネルギー白書
エネルギー政策の重要課題を分かりやすく伝えるデザイン。 複雑なデータを視覚的に整理し、持続可能なエネルギー未来への理解と行動を促進。

WHY
なかなか理解されづらい
日本のエネルギー政策。
電力のための化石燃料の燃焼をはじめ、人間活動の影響が気候変動を引き起こし、地球の未来が危ぶまれています。そのため未来のエネルギー政策を考えることは、あらゆる国や地域にとって最優先課題です。日本もまた再生エネルギーへのシフトや放射性廃棄物の最終処分など、エネルギーにまつわる課題は山積みです。これらを受けて、日本の行政内でも持続可能なエネルギー政策が日々検討されているようです。しかしながら2011年の福島第一原発事故なども背景となって、政策全体がポジティブに捉えられず、エネルギーを持続可能に転換する前向きな姿勢が国民に広く伝わりづらい状況を抱えていました。
主要国のエネルギー自給率(2017年)

エネルギー政策の認知度

HOW
白い町並みでエネルギーを
再現した「ホワイトペーパー」。

経済産業省が毎年発行している「エネルギー白書」は、エネルギーをめぐる国内外の状況や、日本における政策の方針、今後の方向性などがまとめられたものです。「エネルギー白書2022」の表紙と組版フォーマットのデザインを依頼された私たちは、読みやすさに乏しかった白書のエディトリアルデザインを一新し、日本のエネルギー政策についてもっと知りたくなる刊行物に生まれ変わらせようと考えました。


まず最も白書(=White Paper)らしいあり方を検討し、「白」に徹底的にこだわったヴィジュアルを表紙や扉ページのデザインに展開しました。そのためキーヴィジュアルとして、風車、太陽光パネル、メガソーラーなどエネルギー政策にまつわる町並みを3Dで再現した白一色の街を制作。日本のみならず海外の方にも直感的に伝わりやすい「エネルギーホワイトペーパー」のイメージを発信することを狙いました。

組版ではページタイトルや見出しを目立たせ、部・章・節のタイトルをページの右側に集約させて情報にすぐアクセスできるようにするなど、可読性や検索性を高める工夫を施しています。新しい白書像を提示するヴィジュアルと組版を両立させたデザインによって、日本のエネルギー政策をより開かれたものとして捉えていただくとともに、行政の未来への姿勢や持続可能性への意思を伝えることを目指しました。



WILL
国民が自分ごととして
エネルギー政策を考える未来へ。
エネルギー白書のリデザインには、希望あるエネルギー政策の発信を感じさせるものへと生まれ変わらせたいという願いが込められています。旧来の白書からかけ離れたデザインのあり方は、経済産業省の担当職員の開かれた姿勢があったからこそ実現できました。変革が求められているエネルギー政策において、白書のデザインは小さくとも前例にとらわれない果敢な挑戦を促したケースだと私たちは考えています。エネルギー白書が発信するイメージが、この国のエネルギーを持続可能に変えようとしている政治家や行政官、事業者の皆様に届き、国民一人ひとりが自分ごととして持続可能なエネルギーを考える未来につながることを願っています。

INFORMATION
- What
- Energy White Paper 2022
- When
- 2022
- Where
- Japan
- Client
- Scope
- Book cover and inner page design / CG Modeling
- SDGs
CREDIT
- Art Direction
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
- Graphic Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Aya Sakurai, Moe Shibata)
- CG Modeling
- NOSIGNER (Kaining He)
- Photograph
- NOSIGNER (Yuichi Hisatsugu)