
PROJECT
山本山
地域食材のギフト商品をリブランディング。Red Dot Design Awardを受賞。売上予想の3倍を達成し工場拡張にも貢献。

WHY
江戸時代の心意気や文化を
未来に守れるだろうか。
1990年代まで放映されていたTVCMなどによって、多くの国民に知られている山本山は、日本が誇る老舗企業のひとつです。1690年(元禄3年)に初代山本嘉兵衛が創業し、永谷園創業者の先祖・永谷宗円が開発した煎茶を江戸で最初に販売した茶商であったことが記されています。CMの影響などによって、海苔のメーカーとしてのイメージが強い山本山ですが、実は煎茶を扱った日本最古の茶商であり、また今でも広く楽しまれる玉露を発明した銘茶企業として、日本の緑茶文化の発展に大きく寄与してきた歴史があります。しかし、日本の食文化や江戸の美意識を支えてきた山本山は、主要販路である百貨店が不況に苦しむ中、改めて市場を獲得しなければならない苦しい局面に立たされていました。
老舗企業の倒産・休廃業・解散件数推移

緑茶の一人当たりの購入量


HOW
330年前の江戸の粋への
原点回帰をデザインする。

山本山のリブランディングにあたって、江戸時代に端を発する老舗企業というポジショニングを明確にするために、「江戸の粋への原点回帰」をコンセプトに据えました。そして、創業期の「山本嘉兵衛商店」だった時代のお品書きや広告などに使われていた「山嘉」の屋号紋を復活させ、同じく1690年頃に流行していた英字書体と合わせることで、江戸時代の美意識や空気感を再現し、原点回帰するブランドロゴを設計しました。さらに既存商品においても、山本山オリジナルの小紋柄や江戸の書風を取り入れるとともに、江戸の伝統的な色や巻物という書物の構造を引用することによって、老舗の魅力を保ちつつ、現代的で格調高いパッケージへとリデザインしています。江戸から続く老舗企業という歴史や、従来の山本山の美意識の延長線上でリブランディングを行ったことによって、新商品と既存商品を違和感なく売場に並べることを可能にし、それによって、在庫を一斉に入れ替えるリスクを回避しながら、ゆるやかに新しいブランドへとシフトしていくプロセスを取ることができました。


CLIENT VOICE
「山本家の血を感じ取り、『山本山』を表現する。」
弊社のリブランディング以来、太刀川さんと私は何度も食事をしています。同じものを食べ、ビジネスと関係ない話もしながら、太刀川さんは時に私が感覚的にやっていることにも深く突っ込んで質問をしてくれることがあります。私の感性や価値観を掴んでくれているのだと思います。そうして生み出されるデザインは私の想像を超え、しかしそのデザインによって思わず話が膨らむような高揚感を与えてくれます。
当社の333年の歩みは新しい挑戦の連続でした。次の333年、その姿勢をますます加速させていきます。NOSIGNERの皆さんには当社と並走してもらいながら、共にお客様に喜んでいただけるような価値を作っていただきたいと思います。
株式会社山本山
山本嘉兵衛

















330年以上続く日本を代表する老舗のブランドとして、WEBデザインで意識したのは、いかに江戸の美意識を現代的に伝えるかでした。縦組みのタイポグラフィを取り入れ、背景には和紙のテクスチャを配置。江戸期の書物のエレメントに習うことで、老舗らしく、かつモダンな、タイムレスなウェブデザインを目指して製作しました。

創業333周年を記念したロゴでは、江戸時代の図案文字を現代的にアレンジした「山」の字を配置。山の音読みは「サン」であり、山を90度回転させると「3」に。「上から読んだら山山山、横から読んだら333」という言葉遊びであり、「上から読んでも山本山、下から読んでも山本山」という往年のCMのフレーズへのオマージュにもなっています。







WILL
伝統と革新を両立させ、
江戸の文化と味を
次世代へつなぐ。
江戸の美意識に寄り添いながら、バイリンガル表記にした各種ツールやパッケージによって、外国人や若い世代による購買が増え、ブランドとしての未来も広がりつつあります。 現在は新ライン「YMY」を立ち上げ、宇治抹茶ポップコーンや海苔スープなどの商品を通じて、新たなブランド体験を創り、新規顧客の開拓にも取り組んでいます。今後も山本山は、江戸時代からの伝統を尊重するとともに、変化を恐れず新しい息吹を商品に吹き込むことで、次世代の世界へと江戸の文化と味を繋いでいきます。

INFORMATION
- What
- YAMAMOTOYAMA
- When
- 2017
- Where
- Tokyo, Japan
- Client
- Scope
- Re-branding / Branding Strategy / Logo / CI Guideline / Packaging / Promotional items / Pamphlet / Photograph
- Award
- Red Dot Award: Brands & Communication Design(2019)
- GERMAN DESIGN AWARD: Special mention(2020)
- Platinum A’ Design Award in Packaging Design Category(2021)
- Design Rush Best Design Awards: The Best Coffee & Tea Packaging Designs(2022)
- Tokyo TDC Annual Awards(2024)
CREDIT
- Art Direction
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
- Graphic Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Ryota Mizusako, Nozomi Aoyama)
- Photo
- Kunihiko Sato