
PROJECT
REN
枯れかけた観葉植物の再生に取り組むプランツショップの内装設計。生態系から切り離された観賞植物の新たな文脈を創造するための空間。

WHY
人によって生態系から歪に
分断される観葉植物。
かつて森に暮らしていた原始の記憶がそうさせるのか、私たちは植物とともに暮らすことを本能的に求めます。観葉植物は家庭やオフィス、ホテル、店舗などさまざまな場所に置かれることで、緑が少ない環境で暮らす都市生活者に、安心や癒やしをもたらしています。こうした屋内用の観葉植物は、居住地の近くから森などの生態系が失われ始めた19世紀以降に普及したものですが、そのほとんどが熱帯・亜熱帯原産であり、その土地の生態系から切り離された存在だと言えます。屋内空間に擬似的な自然の雰囲気を演出するために持ち込まれている観葉植物は環境に適応していないために弱く、枯れることもよくあります。私たちは観葉植物を必要としながらも、生態系として歪な関係を築いてもいるのです。

HOW
植物を復活させ、
活き活きと育てる植物店。

観葉植物専門店「REN」の本店を新しく設計することになりました。RENは、創業100年を超えるいけばな花材専門店「東京生花」4代目となる川原伸晃のもと、枯れかけた植物を美しく再生させる「リボーンプランツ」に取り組むなど、ありのままの美しさを備えた健康な植物の専門家として愛されています。

そんな空間を設計するにあたって私たちは、多くのグリーンショップのように植物の物量によって擬似的な自然をつくり出す手法ではなく、華道のように一つひとつの植物の美しさを際立たせる方法を模索しました。そして、植物を宙に浮かせて植物の一つ一つを活き活きと独立した存在として示す表現を採用しました。店舗全体をひとつの花器と見立て、個性に合わせて植物を空中に活けられるように、まさに植物のような有機性を備えた可動式のワイヤーシェルフをデザイン。このシェルフによって構成される空間は、それぞれの植物の生命力を際立たせ、一つひとつが大切な存在として表現されます。それは翻って、植物の健康状態が目に入りやすい店舗でもあるのです。こうして、一つひとつの植物を美しく輝かせるとともに、植物のヘルスケアという観点からウェルビーイングにも重きを置く、全く新しいコンセプトの植物店が完成しました。



WILL
人間と観葉植物の
より良い共生関係を目指す。
RENは人間と観葉植物の間に持続可能な関係を築くとともに、枯れてしまった植物を再生させる植物のサーキュラーエコノミーの実践者です。その新たなフラッグシップ店舗を設計することは、サーキュラーエコノミーや生態系保護の啓蒙に挑戦している私たちにとって、深く共感できるプロジェクトでした。この新しい店舗から観葉植物の美しさや再生可能性に目を向けるRENのコンセプトが社会に広がり、人間と観葉植物の間にさらなる共生関係が育まれることを願っています。

INFORMATION
- What
- REN
- When
- 2021
- Where
- Tokyo, Japan
- Client
- Scope
- Space / Interior / Concept Development
CREDIT
- Art Direction
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
- Product Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Niyen Lee)
- Space Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
another APARTMENT(Tsuyoshi Kobayashi, Yuka Shomuda) - Photograph
- NOSIGNER (Yuichi Hisatsugu)
- Video Direction
- artless
- Video Production
- GLMV
- Video Editing
- GLMV