
PROJECT
大川印刷
持続可能な印刷業のブランディング「環境印刷=GREEN PRINTING」によって、日本を代表するSDGsの取り組みへ。

WHY
環境にも身体にも
優しい印刷は可能か。
日本の印刷業界では有機溶剤が使われるケースが大半であること、また、紙の原料となる大量の木や、大量のエネルギーを必要とすることから、印刷という行為は環境に大きなダメージを与えてしまいます。その中で、1881年に創業した横浜で最も長い歴史を持つ老舗印刷会社である大川印刷は、国内印刷業界で初めて「CO2ゼロ印刷」に着手した、日本における環境印刷の草分け的存在でした。しかし、こうした大川印刷の取り組みや経営者の思いはあまり認知されておらず、また、環境印刷の価値も十分に発信されていない状況がありました。


HOW
環境印刷という
言葉を定義し、
姿勢をブランドに。

開港当時の古き良き空気感や、港の街である横浜を象徴するアメリカ渡来の文化を、同時代に創業した大川印刷のアイデンティティと重ね合わせ、横浜ブルースの精神を表現した書体やタイポグラフィ、写真をWebサイトや名刺に展開していくことで、横浜の老舗印刷会社としての誇りや理念を伝えるリブランディングを行いました。同時に、2003年から展開してきた大川印刷の指針でもある「 THE SOCIAL PRINTING 」というワードを、「環境印刷で刷ろうぜ」という新しいスローガンとともに打ち出し、老舗印刷会社から環境印刷の概念を提示していくことで、業界のロールモデルとなることを目指しています。
代表の大川哲郎さんがブルース好きであることから、名刺のデザインでは、ブルースマン風に撮影した各社員の写真に、往年のブルースマンたちの名言を添え、ブルースとリンクする大川印刷の精神を表現しました。CMYKで指定された写真のカラーや、ブルースマンの名言は社員一人ひとりが選んだものです。お客様との最初の接点となる名刺を通して、印刷会社としてのアイデンティティや、社員一人ひとりの個性が伝わるコミュニケーションが生まれることを期待しています。


ブランディングの中核となるWebサイトのデザインでは「THE SOCIAL PRINTING COMPANY」「環境印刷で刷ろうぜ」というフレーズをトップに配置するとともに、どれくらい大川印刷のお客様が環境に貢献したかを可視化する仕掛けを取り入れました。大川印刷が取り組んでいるカーボン・オフセット(印刷事業によって排出されるCO2削減を打ち消す活動)を定量的に伝えるデジタルカウンターを設けたことで、環境の取り組みが直感的に伝わる仕様とすることで、顧客に対してアクションへの参加を促しています。100年を超える歴史を持つ老舗印刷会社であるため、WEBサイトにも印刷をイメージするトリムマークやCMYKの配色を配置し、全面に新聞紙のテクスチャを配置。創業当時の映像を背景とすることで、デジタル時代の老舗印刷会社らしい表現を追求しました。

「かつてのエンブレム」と、印刷で使われる裁ち落としのトンボの形を組み合わせたロゴマーク。



大川印刷では2016年から、自社印刷事業における年間のCO2排出量全量を予めオフセットする「CO2ゼロ印刷」を行っています。この「CO2ゼロ印刷」による印刷物であることを証明するためのマークとして、0(ゼロ)と葉(カーボン)記号化し、環境に優しい印刷であることを直感的に伝えるシンボルマークを設計しました。


オリジナル卓上カレンダー「グリーンカレンダー」のアートディレクションも手がけています。環境印刷を謳う企業としてのメッセージを発信するために、石油系溶剤を含まないインキで印刷することはもちろん、スタンドには間伐材を、台紙やパッケージには間伐紙を用いています。さらに、毎年カードを取り替えるだけで継続的に使えるようにするなど、徹底的にサステイナブルなカレンダーをつくることにこだわりました。




WILL
日本のSDGs経営を
牽引する企業に。
大川印刷は、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた取り組みを行う企業や団体に与えられる「ジャパンSDGsアワード パートナーシップ賞」を2018年に受賞しました。名実ともに日本におけるSDGs経営を牽引する企業のひとつとなったことで全国各地からの講演依頼が急増し、さらにリブランディングの効果なども相まって業績は順調に伸びています。歴史を背負い、これからも進化し続けることで横浜を代表する印刷会社になるというリブランディングを機に掲げたヴィジョンの達成に向けて、現在も大川印刷は発展を続けています。
INFORMATION
- What
- OHKAWA PRINTING
- When
- 2017
- Where
- Yokohama, Japan
- Client
- Scope
- Design strategy / Branding / VI / Web and Front End
- Award
- Japan SDGs Award Partnership Award2018
CREDIT
- Art Direction
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
- Graphic Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Toshiyuki Nakaie, Shun Kudo, Kenny Walker, Ryota Mizusako)
- Web Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Shun Kudo, Kenny Walker, Ryo Fukusawa)
- Development
- NOSIGNER (Naoki Hijikata)