PROJECT
HUSKEY
農業を実現するベンチャー「HUSKEY」を共同創業し、デザインと知財開発を推進。
WHY
莫大な
温室効果ガスの
発生源になっている
稲作。
約3000年前に大陸から稲作が伝来して以来、米は日本人の暮らしを支える主食であり続けています。日本だけでなく世界の総人口の約半数は米を主食にしており、米は人類の命を支えるために欠かせない食糧です。しかし稲作が、地球環境に大きな影響を与えていることをご存知でしょうか。
気候変動の要因となっている温室効果ガスの排出源の約1/4を農林業が占めており、その中でも家畜についで多いのが稲作によるものです。
世界の農林業由来のGHG排出量

モミガラの年生産量(世界と日本)

稲作の過程では、二酸化炭素の25倍の温室効果を持つメタンが大量に水田から発生します。さらに米の収穫・精米過程で発生するもみ殻は全世界で年間1億トン以上、日本国内だけでも約200万トンに及びます。このもみ殻もまた廃棄物として焼却され、大量のCO2を発生させます。人類にとって欠かせない稲作ですが、それによって生じる莫大な温室効果ガスはあまり意識されていません。この循環を見直し、サステナブルな農業にシフトすることは、人類にとって未来のための大きな課題なのです。
HOW
超効率的に
もみ殻をバイオ炭に
して炭素固定を
実現する。

HUSKEYは、廃棄されるもみ殻を高機能バイオ炭にするスタートアップです。独自に開発した24時間安定的に稼働ができる高性能なもみ殻炭化装置技術と、微生物に関する技術やノウハウによって高機能なバイオ炭を社会実装し、サステナブルな循環農業の実現を掲げています。
同社は、NOSIGNER代表の太刀川英輔が提唱する「進化思考」を学ぶ「進化の学校」の卒業生である大浦イッセイさんや西垣孝行さんらが中心となって立ち上げられた経緯から、太刀川も取締役として創業に関わり、CDOとしてデザインやイノベーション支援をリードすることになりました。
長期にわたって炭素を土壌に固定できるバイオ炭は、米づくりの過程で発生する膨大なもみ殻のサステナブルな活用方法として注目されています。特にもみ殻から作られるバイオ炭は二酸化炭素の発生を抑制するだけでなく、保水性・通気性が高く、多孔質であるため微生物のすみかにもなり、農業資材として優れた特性を持っています。バイオ炭を使うことで食物が育ちやすい土壌がつくられるため、結果的に化学肥料の削減にもつながります。
バイオ炭の源流である燻炭は数千年の歴史を持つ原始的な技術です。しかし現代の稲作では、もみ殻廃棄物の燻炭化は時間がかかるため、経済的に非効率とみなされています。稲作で発生する大量のもみ殻を処理するには、安定的かつ効率的に大量のバイオ炭を製造する装置が必要になります。しかしこれまでの燻炭装置は断続的に燃やし続けるために壊れやすく、大規模化が困難でした。この問題を解決するために、私たちは革新的な装置の機構を発明し、知財の開発と社会実装を進めています。さらに高機能微生物の研究を通して、バイオ炭の高品質化と有用性証明のための実証実験を続け、カーボンクレジットの創出だけでなく、真に地球と共生するサステナブルな農業の実現を目指しています。

HUSKEYというネーミングは、殻=「HUSK」を資源循環のカギ=「KEY」に循環社会を実現する同社の理念や事業を体現するものであり、もみ殻炭化装置が持つソリッドな佇まいにもマッチしています。
ロゴにおいても「スチームパンク」や「インダストリー」をイメージさせる骨太なデザインとし、反時計回りの矢印によって、時間を逆回しするかのように炭素を大地に戻す循環をシンボライズしました。





名刺やZOOM背景などのコミュニケーションツールは、黄色いもみ殻と黒いバイオ炭の2パターンを作成。黄=もみ殻、黒=バイオ炭のイメージを対で用いることで、もみ殻がバイオ炭に変わる様子をわかりやすく伝えることが狙いです。また、名刺には廃棄米を活用した紙を用いるなど、サステナビリティにも配慮したデザインとなっています。
WILL
米の炭素
循環による
持続可能な
地域づくり。
HUSKEYのもみ殻炭化装置と高機能バイオ炭を活用した実証実験は、現在すでに国内外の農地でスタートしており、農業品目次第では無農薬化と劇的な高収穫量化を同時に実現しています。HUSKEYの技術が持つ強みは、さまざまな微生物研究の実証を通して最高品質のバイオ炭を製造できることに加え、新たな技術の装置によって高効率化や大規模化を実現し、大量のもみ殻に対応できる、燻炭処理力の高さにあります。現在、装置を物流コンテナ化する特許を申請中で、広大な農地のあらゆる場所で使用可能にするために、さらなる開発を進めています。
今後も私たちはHUSKEYの取り組みを促進し、装置を国内外に普及させることによって、稲作の炭素循環と持続可能な地域づくりに貢献していきます。
INFORMATION
- What
- HUSKEY
- When
- 2024
- Where
- Japan
- Client
- HUSKEY Co., Ltd.
- Scope
- Branding / Branding stationary / Logo / CI Guideline / Packaging / Naming / Business card / Slide format / Product / Web / Web and Front End / ZOOM Background Design / Concept Development
- SDGs
CREDIT
- Design Strategy
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
- Graphic Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Sakura Ito, Keyaki Kanezashi)
- Product Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Mahiro Kobayashi)
- Web Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Keyaki Kanezashi)


