PROJECT
Fun kitchen by cookpad
日本最大の料理サイトによる、キッチンをベースとした不動産事業の創出。料理の楽しさを高めるための場を提供する。
WHY
暮らしの中で
キッチンに抱えるストレス。
食は言うまでもなく、私たちが健康かつ幸せに日々の生活を送る上で最も大切な営みのひとつです。中でも、自ら料理をすることは満足感や安心感を生み、さらに自然の恵みに対する感謝の気持ちを育む、楽しく豊かな食の体験です。
こうした豊かな体験の場であるキッチンは、住まいにおいて必要不可欠なものです。実際に、物件選びにおいてキッチンの使いやすさを、家賃や部屋の広さ、アクセスなどと同等かそれ以上に重視したいと考える人たちが少なからず存在します(下記リンクのデータ挿入?)。しかしながら、満足のいくキッチン環境を持つ賃貸住宅は比較的少なく、その結果として都心部の賃貸住宅居住者を中心に、調理のための十分なスペースや機能が得られず、ストレスを感じながら料理をする人や、自炊をあきらめる人も少なくありませんでした。
キッチンの機能性を家賃の安さ以上に重要視する人の割合



HOW
たのしいキッチンを評価する
単位をつくる。

日本最大の料理レシピ検索・投稿サービス「クックパッド」は、住宅のキッチン環境向上を目的に「たのしいキッチン事業部」を立ち上げました。私たちはその部署の誕生に並走し、新規事業のコンセプト立案、ブランド・サービス構築、デザイン面のサポートなど、ブランディングとコンセプト立案を担いました。
まず私たちは、どのように「たのしいキッチン」を定義するかにフォーカスを当てました。実際に、キッチンの使いやすさを客観的に示す指標はありません。その背景には、キッチンメーカー同士の競争がありました。特定のキッチンメーカーが自社のキッチンの良さを謳うことはあっても、客観的な指標を提供できる立場が存在しなかったのです。しかし、「毎日の料理を楽しみにする」を理念に掲げる日本最大のレシピサービスであるクックパッドであれば、その指標の担い手になり得ると我々は考えました。
キッチンの指標を定めることで、家賃や部屋の広さ、最寄り駅からの時間などと並ぶものとして、公正かつ客観的にキッチンを評価できれば、不動産の価値に影響を与えられるのではという狙いがありました。

そこで、調理スペースの広さや収納力などを基にキッチンの充実度を定量的に判定する「たのしいキッチンスコア」の策定を提案し、KiT(キット)という新しい単位を発明。キッチンスコア算出のための計算式を設計しました。またこの指標を活かし、食の総合的なイノベーション企業として事業領域を広げていくことも狙いのひとつでした。ほどなく同事業部の第一弾サービスとして、キッチン設備を軸に物件が探せる世界初の賃貸情報サービス「たのしいキッチン不動産」が立ち上がりました。





VIについて
たのしいキッチン事業およびKiTのVIの設計においては、同事業の核となる料理をすることの「楽しさ」を、クックパッドが持つアイデンティティと調和させながら表現していくことをコンセプトに据えました。






KiTのロゴは、外形がすべてスーパー楕円(super elipse)になるように設計しています。スーパー楕円はテーブルやまな板、包丁などキッチンにまつわる道具によく使われる形であり、食事を運ぶ口や美味しそうな形も連想させる形です。
スコアリングの数字やタイプフェイスには、力強い印象と丸みを帯びた可愛らしさを兼ね備える幾何学的なサンセリフ体「GOTHAM」を用い、指標としての明快さや楽しい空気感を表現しました。




認定証
たのしいキッチンスコアを客観的に評価するためのツールの設計にも携わりました。カレーの具材のモチーフを装飾としてあしらった「KiT」の認定証をデザインし、その不動産やキッチンに付加価値をもたらす仕掛けを設計しています。






WILL
たのしいキッチンが増えれば、
豊かな暮らしも増える。
「たのしいキッチン不動産」は、立ち上げ当初から各所で評判となり、このサイトを通じて次々と不動産の成約が実現しています。今後は、たのしいキッチンスコアKiTをハブとして、他社との協業によるキッチンを中心とした不動産の提案など、さまざまな事業への展開が期待されています。
キッチンスコア「KiT」が、部屋の広さや駅からのアクセス、沿線価値などと同様に、物件の価値に影響を及ぼす指標として社会に広がれば、快適なキッチンによって暮らしを評価する人が増えるはずです。多くの人が快適なキッチン環境で毎日の料理を楽しみ、健康的な毎日が送れる社会を私たちは願っています。
INFORMATION
- What
- Fun kitchen by cookpad
- When
- 2020
- Where
- Japan
- Client
- Scope
- Branding / Branding Strategy / Logo / CI Guideline / Promotional items / Concept Development / Research / Font
- Award
-
Good Design Award (2020)
-
CREDIT
- Art Direction
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
- Graphic Design
- NOSIGNER (Nozomi Aoyama青山希望, Jin Nagao永尾仁)
- Researcher
- NOSIGNER(Kentaro Yasuda安田健太郎)
- Photograph
- NOSIGNER(Yuichi Hisatsugu久次雄一)