
PROJECT
AIOEBI
山口市阿知須の高級車エビのブランディング。エビ養殖技術発祥の地という歴史と技術を活かした地域産業デザイン。

WHY
世界初の養殖海老の
技術を確立した町の
危機。
山口市秋穂町。「あいお」という日本人でも名前が読みづらい漢字のこの街が、ブラックタイガーなどを含めた、世界中でいま取り入れられている海老の養殖法を確立した場所であることはあまり知られていません。この町では今でもひっそりと高級車海老養殖が続けられていますが、後発の他産地や他国の輸入海老にシェアを取られ、地場産業は衰退してしまっています。2016年に山口市から相談を受けて地域活性のコンサルティングに入ることになり、車海老養殖を切り口にして、なんとか地域を活性化することを目指したいと考えていました。
HOW
町の名前を覚えてもらう
新たな車海老ブランド。

車海老養殖が発祥して以来100年近い月日が経っているにもかかわらず、この場所にはえびの協同組合がありませんでした。しかし、ちょうどタイミングよく2016年に協議会が発足され、初めて養殖業者同士が協調する体制が整いました。そこで、太刀川が協議会初のMTGにゲストとして登壇し、その後2年に渡り山口市と協業し、えび業者の対話の場を設計、この場所の地域課題を整理しながら「あいおえび」という養殖ブランドの確立に取り組んでいます。
1.「あいおえび」というブランド名で街の名前を覚えてもらう。
2.養殖車海老のブランドとして地域産業をつくる。
3.地域の旅館やお店が参画しやすいご当地グルメを開発する。
4.弱かった夏の海老養殖を復活させ、地域産業をつくる。
5.持続可能な養殖の認証取得を目指す。
6.養殖技術発祥の地であるだけでなく、蓄養の発祥である可能性を歴史から紐解いていく。
7.護岸の環境など、天然エビを復活させるための取り組みを行う。
8.地元の子供達への給食として車海老を協賛する。
上記の8つの項目を戦略として提案し、太刀川のファシリテーションの元、各項目ごとにワーキンググループを形成し、それぞれのプロジェクトを進めています。

そんな中で、まずはギフト用の活き車海老のパッケージ、POP、のぼり、リーフレットなどの基本的なブランディングツールが完成しました。今までは養殖業者それぞれが別の箱を使っていましたが、スケールメリットを活かすために業者共通の箱を提案し、スリーブを掛け変えれば様々な種類に対応できる設計にしています。パッケージの中には生きた車海老が詰まっています。海老を殺さないように、おがくずが敷いてあるのが特徴。パッケージのイラストでは、日本のパッケージらしい華やかさを表現しています。









WILL
「あいおえび」の知名度によって地域が活性化。
2018年現在、地域と並走して2年が経過し、地域ブランドとしての認知が徐々に生まれてきており、リピーターが増えたという嬉しい個をいただくようになりました。人気のふるさと納税対象品として全国の人にも楽しんでいただいています。
また、協議会でも夏海老の養殖への可能性が見出されており、ご当地グルメの試作を進めています。さらに、地域の祭りであった「えび刈り世界選手権」も「あいおえび刈り世界選手権」に名前を変え、日本国内外に向けて一丸となって「あいおえび」を発信する準備が整ってきています。地域を変えるのは大変な仕事であり、しっかりと知名度のあるブランドにまで確立されるのはまだまだ長い道のりですが、地域の人々には徐々に明るい未来が見えてきています。



INFORMATION
- What
- AIOEBI
- When
- 2017
- Where
- Aio town, Japan
- Scope
- Branding / Branding Strategy / Logo / Packaging / Illustration / Pamphlet
CREDIT
- Art Direction
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
- Graphic Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Ryota Mizusako)
- Illustration
- NOSIGNER (Ryota Mizusako)
- Photo
- Tsuyoshi Miyamoto