
PROJECT
FUSEGU BOOK
日本感染症学会と日本環境感染学会の感染症予防連携プロジェクト。 予防を楽しく学べる図鑑形式の冊子で、コロナ禍にも広く普及。

WHY
無知と無自覚に
よって広がって
しまう感染症。
インフルエンザやおたふくかぜなどに代表される感染症は、軽い症状で済むこともありますが、時には後遺症を残したり、死に至ってしまう場合もあります。治療薬やワクチンの開発など現代医学の発展によって人類はウィルス感染症のリスクを大幅に軽減できましたが、一方で交通手段が発達し、国境を超えた人々の往来が飛躍的に増えた現代社会では、感染症が広がるスピードは以前よりもはるかに速まっています。特に広がりや症状の予測が難しい新興感染症蔓延のリスクがいまも残る中、その脅威への無知や無自覚こそが私たちの課題でもありました。
HOW
感染症の知識を
楽しく学ぶデザイン。

感染症の恐ろしさを正しく理解するための知識や、感染症から自らを守るための予防法を多くの人たちが身につけるためには、どのようなコミュニケーションが必要でしょうか。
世界各国から多くの人たちが集まるスポーツイベントのような「マスギャザリング」は、A型肝炎や風疹など様々な感染症が拡大するリスクがあります。そこで2019年初頭、翌年に迫る東京オリンピック・パラリンピックに向けて日本感染症学会と日本環境感染学会による感染症予防連携プロジェクト「FUSEGU 2020」が立ち上がり、私たちはこの活動の広報物制作を担いました。


主要な感染症の情報、感染症が広がるメカニズムや、手洗い・消毒、咳エチケット、マスクの使い方など感染症から身を守るための手段を届けたい。そこで私たちは主だった8つの感染症をキャラクター化し、それぞれの症状や潜伏期間などの特徴とともに伝えるコンテンツを収録した、楽しみながら感染症に関する知識や予防法を的確に得られる小冊子「FUSEGU BOOK」を制作。さらに「FUSEGU BOOK」各ページのPDFデータを使って楽しめる「SHINDAN」というゲームを我々が独自開発し、オープンソースとして公開。感染症拡大防止のための普及・啓蒙活動をデザインしました。



WILL
公衆衛生への
意識変革に
よって感染症を
乗り越える。
奇しくも、このプロジェクトを準備している最中に中国で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界に拡大し、感染症の拡大防止は全人類共通の課題として眼の前に現れました。こうした状況を受け、小冊子で紹介した感染症防止の手段などをA4サイズのポスターとしてさまざまな場所に張り出しました。
さらに私たちは、パンデミックから命をまもるための共同編集ウェブサイト「PANDAID」を立ち上げ、デザインの力が十分に発揮された感染症対策のムーブメントを推進しています。
感染症という目に見えない脅威に立ち向かい、その拡大を最小限に抑えるためには、ひとりでも多くの人の意識を啓蒙し、行動の変容を促すことが必要です。インフォグラフィックなどを通じて、正しい情報を魅力的な形にして届けることができるグラフィックデザインの知恵は、その際に大きな力となるはずです。
20世紀初頭、ピクトグラムの源流となったアイソタイプを考案したオットー・ノイラートは、結核の予防マニュアルをデザインし、感染症に関する人々の意識の啓蒙を図りました。グラフィックデザインの源流には、感染症対策があったのです。感染症が蔓延してしまった現代を生きるデザイナーの我々も同様に、言葉や環境の壁を越えて共通認識を持つことができるヴィジュアルコミュニケーションの力を最大限活用し、人々が感染症を乗り越えるための支援を続けたいと考えています。
INFORMATION
- What
- FUSEGU BOOK
- When
- 2020
- Where
- Tokyo, Japan
- Client
- Scope
- Illustration / Edition / Infographics / Pamphlet / Photograph (社内リリース素材使用のみ)
- SDGs
CREDIT
- Art Direction
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
- Graphic Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Ryota Mizusako, Ayano Kosaka)
- Illustration
- NOSIGNER (Ryota Mizusako, Ikumi Taguchi)
- Photograph
- NOSIGNER (Yuichi Hisatsugu)
- Collaboration
- OZMA Inc.