PROJECT
{tabel}
日本各地で受け継がれてきた伝統的な薬草を、現地の生産者とともにお茶へと仕立て、薬草文化を現代に伝える。
        WHY
失われつつある
古来の薬草の知恵。
日本には、300種類以上の薬草があると言われています。これらは、1000以上前から各地の暮らしに根付き、日本人は薬草を取り入れることで、疾患の治療、病気の予防、健康の維持・向上を実現してきました。薬草の効能は、中国伝統の医学や本草学、日本の漢方医学などによって体系化されており、近年は東洋医学をはじめとする伝統医学を見直す動きが加速し、薬草を原料とした生薬、漢方薬への注目も世界的に高まっています。しかし、法規制によって薬品の効果効能を明記できない現代の日本においては、薬草という言葉が使われる機会は減り、薬草農家の多さにもかかわらず、薬草やその生産者と、消費者に距離が生まれているのが現状です。果たして、日本に古くから伝わる暮らしの知恵である薬草文化は、このまま現代の生活から消え去ってしまって良いのでしょうか。

HOW
現代に取り入れやすい
薬草茶をつくる。

日本に古くから薬草として生えている植物を使った伝統茶のブランド{tabel}のブランディングおよびパッケージデザインを行いました。植物の力を「給ぶ、得る。」ことに由来する{tabel}は、日本各地で育てられた在来の薬草、ハーブなどの原料を、現地の生産者らとともに野草茶に仕上げ、全国の消費者とつないでいくブランドです。伝統的な暮らしの知恵であり、現代の生活にも変わらず活かすことができる薬草の力を伝えるために、パッケージは、タイムレスな植物標本を思わせるデザインになっています。また、「霧島のカキドオシとハトムギ茶」「八代の日本古来のはすの葉茶」など、商品名には必ず産地と植物名を入れることで、ローカルの自然に即した生きる知恵や、作り手・風土の魅力を伝えていくことを徹底しています。
植物本来の美しさを捉える写真家として知られるカール・ブロスフェルト氏にオマージュを捧げ、写真家でもあるブランドの代表・新田理恵さんが、薬草を標本図鑑のような写真に収めることで、「古来の薬草」「健康の学び」「オーガニック」といったブランドコンセプトを表現しました。また、書体においてもクラシックな骨格を持つ「プランタン」を用いることで、植物標本らしさを演出しています。

WILL
現代の薬草カルチャーの牽引者に。
{tabel}は、数々のビジネスコンテストやデザインアワードを獲得し、メディアにも多数取り上げられるなど各方面から注目を集め、全国各地に販路を拡大しています。また、代表の新田理恵さんが各地でワークショップなどを積極的に開催し、いまでは盛り上がりつつある薬草カルチャーの中心的存在として認知されるようになっています。さらに、企業とのコラボレーションや地方自治体との連携などの取り組みによって、地域に新たな産業や雇用を生み出すことにも貢献しています。薬草文化が浸透していくことは、日本に予防医学が広がることにもつながり、その可能性は計り知れません。今後もさまざまな社会課題の解決に寄与しながら、ブランドが成長していくことを私たちは願っています。

INFORMATION
- What
 - {tabel}
 - When
 - 2015
 - Where
 - Yokohama, Japan
 - Client
 - Scope
 - Branding / Logo / Packaging / Photograph / Naming / Promotion Strategy Support
 - Award
 - PENTAWARDS2016
 - JPDA Award: Grand Prize2017
 - German Design Award: Honorable Mention2017
 
CREDIT
- Art Direction
 - NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
 - Graphic Design
 - NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
 - Photo
 - NOSIGNER (Lyie Nitta)