PROJECT
OCICA
石巻・牡鹿半島の漁村に住む女性たちの手仕事ブランド。天然の鹿革製品を通じ、被災地コミュニティの再生と持続可能な収入創出に寄与。
WHY
震災で失われた仕事や
コミュニティを繋ぐには。
2011年3月11日に発生した東日本大震災は、東北地方沿岸部を中心に甚大な被害をもたらしました。その名の通り、多くの鹿が生息している石巻市牡鹿半島もまた、津波による大きな被害を受けた地域のひとつです。水害によって住民たちが失ったのは家や船だけではありませんでした。震災後しばらく経ってからも漁業・水産業などの主幹産業は停滞し、また、仮設住宅に暮らす人たちも少なくない中、地域コミュニティも失われつつあり、震災に付随する辛さ、先行きの見えない絶望感が被災地を覆っていました。


HOW
復興を願う鹿の角の
ドリームキャッチャー。

震災後、牡鹿半島にある小さな漁村・牧浜集落の女性たちとともに、復興支援としてのプロダクト制作に取り組んでいた一般社団法人つむぎやと出会った私達は、漁村に暮らす女性たちによる手作りアクセサリーのブランド「OCICA」の製品デザインとブランディングを行いました。日々の仕事や、話し相手を持たずに困っていた女性たちに各々の役割としての仕事をつくり、わずかながらでも収入をもたらなしながら、住民同士のコミュニティを再生することを目指し、地域ならではの資源や産業、住民のニーズ、さらには伝説・伝承などさまざまな要素を丁寧に見つめ、ブランドのストーリーを紡いでいきました。



DEERHORN DREAM CATCHER は、牡鹿半島ならではの素材である鹿角と、漁網の補修糸でつくられたアクセサリーです。牡鹿半島の対岸の島にある神社では鹿が神獣と扱われ、また、古来より鹿の角は水難・海難のお守りとされてきました。一方、アメリカインディアンの装飾品であるドリームキャッチャーには、悪魔を食べるお守りとしての効能があります。かつて神社の境内だった牧浜集落の集会所で仲間たちとお茶を飲みながら、神獣であり、現在は害獣として処分されている鹿の角を使ったアクセサリーを、究極の水難のお守り、縁結びのお守りとしてつくることで、コミュニティ再興への祈りを形にすることを目指しました。



OCICAプロジェクトの第2弾として、2015年に製品デザインを行ったDEER LEATHER PEN CASEは、天然・野生の鹿革を用いたペンケースです。制作は、牡鹿半島・鮎川浜の障害者福祉サービス事業所の方々の仕事として行われており、一つひとつ丁寧に手仕事で縫製されています。封筒をモチーフにした形状ですが、漁港の補修糸でぐるぐると巻くロール形でも使用できる2WAY仕様で、容量や用途に合わせて使い分けることができます。




WILL
復興支援をする人たち
にとってのシンボルに。
震災の復興支援活動の一環として、世界中からおよそ1000名の人たちが、アクセサリー作りのワークショップに参加するために牡鹿半島を訪れました。多くの復興支援プロダクトが震災後5年以内に市場から姿を消している中、OCICAのプロダクトは現在も売れ続け、東北の復興を祈る多くの人たちによって愛されるプロジェクトへと発展しています。牡鹿半島の小さな浜で始まり、多くの人たちの想いによって歩みを進めてきたOCICAプロジェクトの物語を一冊にまとめた書籍も出版されました。




INFORMATION
- What
- OCICA
- When
- 2011 / 2016
- Where
- Ishinomaki Oshika Peninsula, Japan
- Scope
- Logo / Packaging / Photograph / Book cover and inner page design / Promotion Strategy Support / Product Design
CREDIT
- Art Direction
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
- Product Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
- Graphic Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
- Project Direction
- Tumugiya
- Photo
- Lyie Nitta