
PROJECT
mamaro
授乳中の母親をサポートする移動式プライベート空間。 公共の場での授乳の課題を解決し、社会全体で子育てを支援するデザイン。

WHY
乳幼児がいる
夫婦は街に安心して
外出できる状況だろうか?
現在、日本では毎年90万人前後の新生児が誕生しています。それに対して、全国に設置されている授乳室の数はおよそ2万程度で、決して十分な量とは言えません(

一方で、公共空間にベビールームを設置するためには、物理的なスペースや安全性、プライバシーの確保、高額な工事費などさまざまな障壁があることも事実です。子育て中に街中でも安心感を持てる状況を実現するにはどうしたらよいでしょうか。
子供との外出に対する不安度

おむつ交換が不安で子供との外出が制限された経験


HOW
後から設置で
きる移動式ベビールーム。

横浜を拠点にするスタートアップ企業Trimは、「mamaro」という移動式ベビールーム事業を提供しています。畳一畳ほどのスペースに安価な費用で設置できるmamaroは、導入コストの低さやアイコニックなデザイン、安心感を与える空間設計などによって、高い評価を獲得していました。本プロダクトのUXをさらに向上させるため、私たちNOSIGNERはmamaroの新型筐体のデザインと機能の大幅なアップデートを行いました。



子連れでの使いやすさを考慮して既存製品を分析すると、入り口や内部空間の狭さなどが課題として見つかりました。
そこで新筐体の設計では、旧モデルよりもシンプルな外観を実現しながらも、施設の導入に影響のない範囲内で幅と奥行きを広げ、外部に吊るタイプの引き戸を採用することで開口幅も1.5倍以上拡張しました。さらに入り口と床面の段差を減らしています。


内装デザインでは、ディスプレイ機能を椅子横のタブレットに集約して内部スペースを広げ、べビーカーの出し入れやおむつ台での作業をしやすく変更することで、ユーザー体験の向上とユニバーサルなデザインを実現しました。また感染症の不安を払拭するために使用後に紫外線やオゾンによって内部を殺菌する仕組みを備え、利用者の安心感を促します。
また、これまでmamaroのアイコンだった丸い内照式のサインを、モーションロゴや時計などのコンテンツを展開できる円形のモニターに変更し、認知効果のさらなる向上を図りました。このモニターは将来的に遠方からでも「使用中」(使用時間)や「殺菌中」(残り時間)などのステータス表示や、広告掲出ができる拡張機能を設定できます。

WILL
もっと子育ての
しやすい街へ。
mamaroは現在、全国の商業施設やアミューズメントパークなどを中心に数多く設置されています。今回の筐体デザインを通じて、さらにmamaroを子連れでの外出に安心感をもたらすベーシックなインフラとし、街中に広げていくことを目指しています。
mamaroでは今後、子どもたちが楽しめるコンテンツや身体測定機能などを強化していく予定です。これによってmamaroは、安心して子どもをケアできる空間にとどまらず、子どもの健康状態を知り、発育を促す場となるはずです。mamaroの普及を通して、子育てしやすいウェルビーイングな街の生活を実現していくことが、私たちが思い描く未来です。

INFORMATION
- What
- mamaro
- When
- 2021
- Where
- Japan
- Client
- Scope
- Product / Photograph (社内リリース素材使用のみ)
CREDIT
- Art Direction
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
- Graphic Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Niyen Lee)
- Photograph
- NOSIGNER (Yuichi Hisatsugu)