PROJECT
COOL JAPAN PROPOSAL
内閣官房が主催するクールジャパン戦略の座長として「世界の課題をクリエイティブに解決する日本」というミッションと詳細な提言を策定。
WHY
クールジャパンは
本当にクールなのか。
「クールジャパン」は、2002年にアメリカ人ジャーナリストが提唱した概念で、1990年代のイギリスの政策「クールブリタニア」に影響を受けて登場したと言われています。2010年には経済産業省がクールジャパン推進室を設置し、「クールジャパン戦略」が国策として推進されるようになりましたが、漫画・アニメなどのサブカルチャー、茶道などの伝統文化、あるいはテクノロジー産業、時には不名誉なことに児童ポルノのようなものも含めて、あらゆるコンテンツが一緒くたに語られている状況があり、そのわかりにくさや、明快な理念、外国からの視点の欠如などによって、認知度とは裏腹に政策の共感醸成は難航していました。
そんな最中の2014年、稲田朋美クールジャパン戦略担当大臣との出会いによって、これまでアジア諸国の創造産業の発信に関わる事例に多く携わってきたNOSIGNER代表の太刀川英輔が、第2回クールジャパンムーブメント推進会議のコンセプトディレクターを務めることになりました。そもそも、クールジャパンは本当にクールなのか。あるいは逆に、日本のコンテンツ産業を本当にクールにするには、どのような政策が有効なのでしょうか。
HOW
世界の課題を
クリエイティブに
解決する日本。

複雑かつ答えのない問いを探り当てるために、私達はクールジャパンの目的を改めて設定することにしました。
太刀川のディレクションの元、全4回にわたって開催されたクールジャパン推進会議では、過去の有識者会議ではほとんど例を見ないダイアログ形式の議論を行うことを提案。映画監督、俳優、能楽師、アスリートなど各界を代表する面々が全員無償で参加し、利害関係やヒエラルキーを排除した場で忌憚のない意見を交換し、クールジャパンを根本から問い直しました。
この議論をもとにまとめたクールジャパン提言では、「世界の課題をクリエイティブに解決する日本」をクールジャパンのミッションに据え、課題先進国・日本から、コンテンツ産業の力でさまざまな課題を解決するモデルを構築し、世界に発信していくこと提案しました。
アニメや漫画など、日本のコンテンツ産業には、確かに世界を席巻する力があります。そして社会課題に満ちた日本が、コンテンツ産業の力を社会課題を解決する方法に用いて、輸出産業にまで高めることができれば、新しいコンテンツ産業の創出になるばかりでなく、世界への貢献が認められれば、真にクールなクールジャパンを実現する事ができるはずです
これらを実行に移すために提言書では、「1.国内の成長を促す」「2.国内と海外を繋ぐ」「3.世界に役立つ日本へ」という3つのステップを定義し、さらに各ステップを実行させるための9つのミッション、各ミッションを具体化させるためのアクションをまとめました。




クールジャパン担当大臣による
クールジャパンのミッション宣言
世昴の課題をクリエイティブに絆決する日本
私が初代クールジャパン戦略担当大臣に就任し1年半以上が過ぎた。 1990年代以降、私たち日本人が長引く景気低迷などで自信や元気を失って内向きになってしまった間にも、日本のアニメ、マンガ、ゲームなどのコンテンツは多くの国々で親しまれ、おいしくヘルシーな日本食もファンをどんどん増やしてきた。私は、そうした日本の持つ様々な素晴らしさを今一度私たち一人一人が再発見し、世界に発信し•ていく社会的な運動(ムーブメント)としてクールジャパン戦略を位置付け、政府は、総理によるトップセールスなどムーブメントの盛り上げを図ると同時に、「クールジャパン機構」によるファイナンスなど意欲ある民間の取組を応援することを進めてきた。大臣就任以来、米国、欧州、アジアの国々を訪れたが、各国でクールジャパンに対する非常に強い関心を実感した。
しかし、様々な日本の良さをバラバラと発信するのではピントが甘くなり、メッセージが弱くなってしまうのも事実であり、現状は十分とは言えない。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催が決定し、クールジャパン戦略に対する追い風が吹いているこの好機を逃すことのないよう、CJムーブメント推進会議において更なる発信力強化に向けた議論を重ねてきた。気鋭の若手デザイナーである太刀川英輔氏をコンセプト・ディレクターに迎え、日本のみならず、世界の第一線で活躍する多彩なアーティスト、アスリート、ク リエイターにもゲストとして多数参加いただき、従来の政府のお堅い会議ではあり得ない顔ぶれと自由な雰囲気で大いに議論し、私も楽しみながら意見を言わせてもらった。 議論で見えてきたのは、クールジャパンに期待されることは単に日本文化の紹介や発信を通じた経済効果を期待するものではないということである。日本は少子高齢化、環境・エネルギー問題、財政再建など世界の多くの国々がこれから直面するであろう困難な課題を既に抱え、その解決に取り組んでいる「課題先進国」である。日本は古来より、狭い国土、乏しい資源といった厳しい環境の中で、外国の文物を柔軟に受け入れ、我が国独自の文化として発展させてきた伝統を持つ、イノベーションの国である。今こそ、日本らしい創意工夫で率先して困難な課題を解決していき、世界の先頭に立つ。そして世界の国々が同様の課題に直面した時、日本のやり方を参考にできるようになれば、日本という国のブランド価値をより一層高めていくことにつながる。つまり、「世界の課題をクリエイティブに解決する日本」こそ、新たなクールジャパンのミッションであるとここに宣言したい。
この宣言を踏まえて、会議のコアメンバーを中心に魅力的なアクションをまとめてもらった。政府もこれまで様々な取組を行っているが、これだけ第一線の方々がまとまってクールジャパンの提言を行うことは例のないことである。提言には新事業の創出や、既存事業を加速させるアイディアが詰まっており、是非各省庁にはそれぞれの取組に生かしてもらいたい。また、この会議に参加いただいたメンバーやゲストの方々という人財を築くことができたことも大きな成果である。今後の各省庁の事業の実施にあたり、アドバイスの提供や、イベントヘの協力など、メンバーやゲストの方々には引き続きの御協力をお願いしたい。 クールジャパン戦略は次のステージに入った。「日本」というブランドの価値を高めることに終わりはない。これからも新たなチャレンジをどんどん行っていきたい。
2014年8月26日
クールジャパン戦略担当大臣 稲田朋美

WILL
提言から生まれたミームは
形を変えて現代に
引き継がれる。
稲田大臣によるミッション宣言とともに発表されたクールジャパン提言は、行政関係者、クリエイティブ産業従事者の双方から高い評価を獲得しました。その後の展開にも大いに期待が寄せられましたが、発表直後に内閣改造が行われ、担当大臣が変わったことなどにより、提言の内容と具体的な政策には大きな開きが生まれる結果となりました。しかし、2014年から外務省が海外3都市で展開している日本文化の発信拠点事業「JAPAN HOUSE」や、産業界で加速するSDGsなどの潮流に先駆け、この提言がまとめられたことは決して無意味ではなかったと信じています。また、私たち自身も「東京防災」などを通じて、クリエイティブの力で社会課題の解決を推進するプロジェクトの数々に取り組んでおり、クールジャパン提言から生まれたミームは、形を変えて引き継がれています。
この提言は日本のコンテンツ振興のみならず、今後の行政の改革全般に役立つものであると今も私達は信じています。ここにその全文をアップロードしますので、ぜひ御覧ください。










































































INFORMATION
- What
- COOL JAPAN PROPOSAL
- When
- 2014
- Where
- Japan
- Scope
- Edition / Concept Development / Infographics
CREDIT
- Art Direction
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)